PMSの辛さは軽減できる⁉︎治療法の種類と自分でできる対処法

公開日 2021-10-06 更新日 2021-10-06

記事監修医

フィデスレディースクリニック

松本智恵子先生

滋賀医科大学卒業。京都大学医学部婦人科学産科学教室に入局後、 大津赤十字病院、洛和会音羽病院などを経て、フィデスレディースクリニックで勤務。
産婦人科専門医、日本女性医学会会員。

生理がくるまでのあいだ、身体や心の不調をもたらすPMS(月経前症候群)。「仕事に集中できない」「イライラして、家族や友人、恋人にきつい態度を取ってしまう」「むくんで体重が増える」などの悩みが生まれます。身体の反応であることはわかっていても、快適に生活するうえでやはり避けたいものですよね。

辛いPMSは、医療機関での治療やセルフケアによって緩和できます。今回の記事では、PMSへの対処法について解説します。

医療機関で受けられる、PMSに対する治療法

PMSに対する治療法は、病院・クリニックなどの医療機関でおこなわれています。基本的には、生活指導や薬物療法が行われます。

ピルによる治療法

女性ホルモンを調整することを目的に、低用量ピルでの治療を行います。これにより、女性ホルモンによる身体への影響を抑えられ、生理前でも落ち着いて過ごせるようになります。

ただし、ピルを飲むことで、吐き気や不正出血、むくみ、気分の落ち込みなど、副作用が出るケースもあるため、注意が必要です。ピルによって血液中の女性ホルモンの量が変わり、身体がまだ慣れていないことが理由です。2〜3カ月ほど飲んでいると症状が軽快していくと言われています。

2〜3カ月は長く感じられるかもしれませんが、続けることでPMSの軽減につながり、また生理痛の緩和も期待できるようになります。辛いときは医師に相談しながら、気長に服用を続けてみましょう。

ピル以外薬物療法

PMSの症状は、ピル以外の薬でも緩和させられます。身体の痛みが目立つときには痛み止め、むくみが気になるときには利尿剤など、症状に合わせた薬を選び、緩和を目指していきます。精神的な不安が出ているときには、抗不安薬や抗うつ剤などが使われるケースが多いです。

漢方薬による治療法

一般的な薬を使ってのPMS治療は、症状緩和のために役立つ方法ですが、「副作用が気になる」と躊躇してしまう方も少なくないでしょう。そのような場合には、漢方薬による治療を選ぶこともできます。

漢方薬の土台となる漢方医学では、体質改善を目的とした治療が行われます。ピルやそのほかの薬物療法と比べて即効性が期待できるものではありませんが、飲み続けていくうちに体質改善も期待できるようになることがメリットです。また、副作用のリスクも比較的低く、安心して治療を続けられることでも知られています。

漢方薬は、その人の体質や体型、生活習慣、症状などに合わせて薬を処方します。

たとえば、

加味逍遥散(かみしょうようさん):のぼせや便秘が気になる方向け
体力があり、一方でストレスをためやすい方に処方される

当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん):身体の痛みやむくみが気になる方向け
体力の低下や疲れやすさを感じている方に処方される

抑肝散加陳皮半夏(よくかんさんかちんぴはんげ):ストレスやイライラ感、不眠症が気になる方向け
神経質でストレスの影響を受けやすい方に処方される

などの薬が処方されることが多いです。

PMSとは?

では、そもそもPMSとは何なのか、どうして起こるのか、基礎知識をおさらいしましょう。

PMSとは、生理前にあらわれる身体的・精神的な症状です。自律神経の不調が出るケースも多いです。症状が出る期間は生理前の3〜10日間ほどとされています。

PMSの症状には、

■身体的症状

  • 腹痛
  • 腰痛
  • 頭痛
  • むくみによる体重の増加
  • お腹の張りによる不快感
  • 胸の張り

■精神的症状

  • 集中力の低下
  • 不安
  • イライラ感
  • 抑うつ
  • 情緒不安定
  • 睡眠障害
  • 眠気

■自律神経に関わる不調

  • 疲労感
  • 食欲不振または過食
  • めまい
  • 不眠
  • のぼせ

などがあります。

PMSの原因

PMSの原因はまだ明らかにされていませんが、女性ホルモンの変動が影響している可能性が高いといわれています。

黄体期イメージ

排卵から生理までの約2週間、女性の身体は「エストロゲン(卵胞ホルモン)」と「プロゲステロン(黄体ホルモン)」が多く分泌される『黄体期』というステージに入ります。この黄体期の後半に卵胞ホルモンと黄体ホルモンが急激に低下し、脳内のホルモンや神経伝達物質の異常を引き起こすことが、PMSの原因と考えられています。

PMSを緩和するために、自分でできるケア

PMSの緩和には、先の項目でお話ししたとおり医療機関での治療も有用ですが、セルフケアも役立ちます。症状をなるべく軽減させるために、毎日のケアを続けましょう。

生活習慣を改善する

  • 規則正しい食生活(ビタミンやミネラル、マグネシウム、カルシウムなどがバランスよく揃った食事)を心がける
  • 無理のない程度で、適度な運動習慣を作る
  • 入浴の習慣を作る
  • カフェイン、アルコールをとりすぎない

など、基本的な生活習慣の改善をしてみましょう。PMSの原因にはストレスも深くかかわっていることから、規則正しい生活によってストレスを軽減することで、症状の緩和にもつなげられます。

アロマテラピー

PMSへのセルフケアとして、アロマテラピーもおすすめです。

アロマイメージ Christin Hume (@christinhumephoto) | Unsplash Photo Community

アロマテラピーとは、エッセンシャルオイルの香りで体調を整える方法です。香りによって身体と心が良い状態になると、私たちが本来持つ自然治癒力や抵抗力が活性化されると考えられています。
PMSによる腹痛や腰痛、頭痛、むくみの緩和にも役立つとされ、PMSや生理痛、更年期障害など、女性特有の症状をあつかう医療機関でもアロマテラピーを取り入れるところが増えてきました。

PMS緩和に有効なアロマ

PMSの緩和が期待できるアロマオイルは、ラベンダーやゼラニウム、クラリセージ、イランイラン、ベルガモットなどがあります。ラベンダーやゼラニウムは自律神経の働きを整え、クラリセージはエストロゲンに似た働きを持ち、イランイランやベルガモットは憂鬱感や気力の低下を和らげる働きがあるとされています。

ただ、症状解消に役立つからと言って、苦手な香りのアロマを無理に試す必要はありません。自分の心が落ち着く好きな香りを取り入れることも、視野に入れましょう。

基礎体温を測り、PMSに備える

医療機関での治療やセルフケアに加え、PMSがいつおこるかを知っておくことも重要なポイントです。毎日基礎体温を測ることで、生理周期を把握できるようになります。

生理が28日周期でくると仮定すると、女性の体温は、生理から排卵までの2週間低温期と排卵から生理までの高温期で変化します。

低温期は比較的体温が低い時期が続き、高温期は基礎体温が高い時期になるのが自然な傾向です。毎日体温を測っていると、このように体温が上がるタイミングがわかるようになります。

体温が上がってきたら、黄体期に入ったと考え、規則正しい生活や体調管理に一層気を遣ってみましょう。早めの準備をすることで、PMS症状の緩和に役立てられます。

まとめ

生理前に女性を悩ませるPMSは、予備知識と適切なケアがあれば、かなり高確率で軽減させられるものです。そのためには医療機関での治療に加え、セルフケアや基礎体温のチェックによる準備も必要です。

専門家によるサポートと体調管理を取り入れ、辛いPMSを上手に乗り切れるようにしましょう。

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