オータム先生
筋トレを愛する現役整形外科医。
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気分が落ち込んでいるとき、リフレッシュしたいときに、お気に入りの香りをかぐ人も多いでしょう。
香りはその種類によって、さまざまな効果が期待できます。使い方によってはお悩みを解消できる可能性も。せっかく香りを楽しむのであれば、自分のお悩みも解決できるものを取り入れていきたいですよね。
今回は、アロマテラピーの効果について論文をもとに解説します。ぜひ、お悩み解決に役立ててください。
3つとも意味するものは同じです。もともとアロマテラピーは、フランス人の科学者が、「アロマ(香り・芳香)」と「テラピー(療法)」の言葉を組み合わせました。
アロマテラピーはフランス語、アロマセラピーは英語での表記の違いです。厳密な使い分けはないということですね。
アロマテラピーというのは、植物から抽出した香り成分である精油(エッセンシャルオイル)を使って、美容や健康に役立てていく自然療法です。
天然の香り成分が体や心にさまざまな効果をもたらすことにより、リフレッシュ効果や機能の回復など多くのメリットをもたらすとされています。
エッセンシャルオイルの香りには数えきれないぐらいの種類があります。どれを使用すればいいか、悩んでしまいますよね。
ここでは、世界中の論文をもとに目的別にアロマテラピーの効果を解説します。
リラクゼーション効果が期待できる、おすすめのエッセンシャルオイルは「ラベンダー」と「ローズ」です。ラベンダーオイルのリラックス効果については、さまざまな研究で効果が確認されています1,2)。
また、ラベンダーとベルガモットをブレンドしたエッセンシャルオイルは、単体のオイルを使用するよりも、リラックスし穏やかな気持ちにさせてくれます3)。これはベルガモットの持つストレスや、緊張をやわらげる作用が関係しているそうです。
ローズオイルもリラックスし、心を落ち着かせる効果が研究で確認されています4)。リラックスしたい人におすすめのエッセンシャルオイルです。
生理の痛みに悩まされている人にも、アロマテラピーがおすすめです5,6)。アロマテラピーが生理の痛みを軽減する可能性があることが、研究で報告されました7)。研究では「ローズオイル」「ラベンダーオイル」が使用されています。
特に、エッセンシャルオイルを使用しておなかをマッサージすると、痛みがやわらぎ、痛みを感じる時間が短くなるようです。8)。他にも、においを嗅ぐだけでも、痛みをやわらげる効果が確認できました。
生理の痛みに悩んでいる方は、ローズオイルやラベンダーオイルを使ってみてください。
アロマテラピーというとリラックス効果にばかり注目が集まっています。
そこで、気分を高められるものはないか調べてみました。
おすすめのエッセンシャルオイルは「ジャスミンオイル」です。タイで行われた研究では、ジャスミンオイルを使った人のほうが活発になり、気分が上がっていました9)。
エッセンシャルオイルの価格は、100円ショップで買えるものから専門店で高額なものまでさまざま。
一体、何を基準に選んだらよいのでしょうか?
エッセンシャルオイルには化学的に作られた合成香料と自然の素材から作られた香料の2種類があります。安価なエッセンシャルオイルは化学的に合成された「合成香料」であることがほとんどです。
しかしながら、アロマテラピーの定義としては天然素材からできたエッセンシャルオイルを使用することとされています10)。また、これまでにご紹介した文献でも自然から抽出したオイルでの効果が調べられています。
香りを楽しむだけであれば、合成香料でもかまいませんが、合成香料は香り成分を石油から化学的に作った製品のため、天然成分由来の香りによる効果は期待できないかもしれません。
体調改善などの効果を期待したい場合には、合成香料ではなく天然素材から抽出した良質なエッセンシャルオイルを選ぶ必要があります。
見分け方のポイントは「オーガニック認証マーク」です。代表的なオーガニック認証マークを紹介します。
有機JASマーク 12) | 農薬や化学肥料などの化学物質に頼らないことを基本として栽培された製品に付与される、日本の認証マーク |
ABマーク AGRICULTURE BIOLOGIQUE 13) | フランス政府が1981年に指針を制定し、1985年以来国家によるオーガニックの認定として使われている認証マーク |
ECOCER 14) | 1991年にフランス農務省が有機栽培食品を認可する目的で設立。オーガニック認定団体の世界基準ともいわれている。オーガニック先進国であるヨーロッパで、消費者が安心して確かなオーガニック製品を手に取れる信頼のマーク。 |
ヨーロッパ有機認証(EUオーガニック認証) 15) | 2012年7月1日より表示が義務付けられた、EU加盟諸国の統一基準を満たすことを証明するオーガニック認証マーク |
COSMOS ORGANIC 16) | ヨーロッパの5つのオーガニック認証団体が参加して作られた認証機関が認定しているオーガニック認証 |
USDA 17) | USDA(米農務省)が食品に対して認定しているオーガニック認証 |
「エッセンシャルオイル オーガニック」で検索するよりも「エッセンシャルオイル ヨーロッパ有機認証」「エッセンシャルオイル USDA ラベンダー」などのキーワードで検索するのがおすすめです。より質のよいエッセンシャルオイルを、簡単に見つけられるでしょう。
プレゼントにアロマキャンドルやルームフレグランスをプレゼントする機会がありませんか?結婚祝いやベビーシャワーの際には、避けた方がよいエッセンシャルオイルの香りがあるので注意しましょう。
代表的なものは、ジャスミン・イランイラン・ローズマリー・ローズ・スペアミント・カモミール・オレンジ・サンダルウッド・レモングラスが挙げられます。
アロマテラピーを実践して重大な事故が生じたことは、過去には報告されていませんが、妊婦へのプレゼントとしてはあまり適さないかもしれませんね。
■アロマオイルには、リラックス効果、生理痛緩和、気分の高揚などさまざまな効果が期待できる
■アロマオイルには体に効果のあるものとないものがある
今回はアロマオイルの効果に関して文献をもとに紹介しました。アロマオイルは香りの種類によって、得られる効果が異なります。
注意点を参考に、自分の取り入れやすい方法でアロマテラピーを日常生活に取り入れて、自分らしく毎日を過ごしていきたいですね。
参考文献
1)ラベンダーオイルの吸入が感情状態、自律神経系、脳の電気的活動に及ぼす影響-PubMedこの記事を書いた人
看護師 保健師
大学看護学部卒業後、小児科・腎臓内科・循環器科で勤務。現在は看護師として働きながら、知識と経験を活かし、医療ライター・監修者として精力的に活動を続ける。モットーは~看護師の視点で「正しい知識」を「わかりやすく届ける」~