島袋朋乃先生
産婦人科医師。平成28年に旭川医科大学医学部を卒業後、函館五稜郭病院、釧路赤十字病院を経て、現在は産婦人科医として市中病院で臨床経験を重ねる。総合病院やクリニックで産科、婦人科、生殖医療に携わる。日本医師会認定産業医。日本産科婦人科学会、日本産科婦人科内視鏡学会、日本生殖医学会所属。
島袋朋乃先生
産婦人科医師。平成28年に旭川医科大学医学部を卒業後、函館五稜郭病院、釧路赤十字病院を経て、現在は産婦人科医として市中病院で臨床経験を重ねる。総合病院やクリニックで産科、婦人科、生殖医療に携わる。日本医師会認定産業医。日本産科婦人科学会、日本産科婦人科内視鏡学会、日本生殖医学会所属。
避妊方法にはさまざまな方法がありますが、その中でも避妊効果の高い方法が避妊手術です。
この記事では、避妊手術でどのように避妊するのか、将来妊娠したいときにどうするのかまで分かりやすく解説しています。
たくさんある避妊方法のひとつの選択肢として参考にしてください。男性の避妊手術に関しても紹介しています。
女性の避妊方法には、低用量ピルの服用やIUDの挿入など避妊確率の高い方法があります。しかし、低用量ピルは毎日決まった時間に薬を服用しないと避妊効果が得られないことや、IUDなど器具の挿入は数年おきに医療機関を受診して挿入・抜去しなければならず、正直管理が面倒に感じることがあるかもしれません。
男性の避妊方法はコンドームが代表的です。安価でどこででも購入できる手軽さが人気で、性病の予防にもなります。しかし、間違った使い方をしたり、コンドームが破れたり外れたりすることで妊娠する確率が高まってしまうのが難点です。
一般的なコンドームの使用では避妊率はおよそ85%です。また、女性が避妊をしてほしくてもコンドームの装着を拒まれることもあり、男女の避妊への意識の違いが影響することもあります。
避妊手術は不妊手術とも呼びます。
一度手術を受ければランニングコストはなく、妊娠の確率が高く性交渉のたびに避妊しなくてもいいメリットがあります。ただし、妊娠するためには再手術や体外受精が必要で、すでに子どもがいて妊娠を希望しない方や、子どもを望まない夫婦に向いている避妊方法です。
手術は男性女性の両方が受けられますが、一度手術をしてしまうと元には戻せず、将来考えが変わって子供が欲しくなったときには体外受精がほぼ必須となってしまいます。そのため若い世代にはあまり推奨されていない避妊方法です。
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SMLコンドーム
安心安全な行為のための第一歩
女性の避妊手術は「卵管結紮(らんかんけっさつ)」です。
子宮と卵巣をつなぐ左右の卵管をクリップやリングなどで縛ったり、糸で縛って切断したりと医療機関によって手術方法はさまざまです。卵子が通る道をふさぐことで卵子が子宮にいけず、逆に精子も卵子にたどり着けないために妊娠しません。
避妊を目的とした卵管結紮術は、原則全額自己負担です。
料金設定は医療機関によって異なりますが、5~10万円であることが多いです。手術費に加えて、検査や薬、診察などにかかる費用がプラスされます。
卵管結紮は避妊確率99%以上でかなり高い避妊ができ、その避妊効果は一生続きます。しかし、ときに卵管が再疎通して妊娠することがあり、妊娠した場合には子宮外妊娠になるリスクが約30%と高いです。卵管結紮は帝王切開の際に同時におこなったり、経腟分娩の数日後におこなうこともできます。
卵管結紮をして卵管が機能を失っても、生理に影響を及ぼすことはほとんどありません。卵子の通り道を塞いだだけなので排卵や生理は今まで通りきます。ホルモンバランスも変わることはなく、生理周期や生理出血に異常が起こるわけでもありません。
避妊効果だけでなく、生理出血の量を減らしたい方や生理不順を整えたい方には、ピルの服用やIUDの挿入などの方が向いているケースがあります。
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コンドームからアクセサリーまで、使い方が幅広いケース
パイプカットは正式には、精管結紮術(せいかんけっさつじゅつ)といいます。
両側の精管を切って精液が体外へ排出されないようにします。精巣では今まで通り精子がつくられ続け、精子のない精液が射精されます。性欲の減退などはありません。
費用の相場は15万円前後で、手術代のほかに検査代や診察代が必要です。
手術を受けた後は生涯メンテナンスをすることなく、ほぼ100%妊娠を回避できます。卵管結紮と同様に、非常にまれですが自然妊娠する可能性があります。
今は妊娠しなくていいと思っていても、時が流れて生活スタイルが変わると考えも変わって、子どもが欲しいと思うようになることもあります。そういったときのためにも、将来の妊娠について理解したうえで、手術を検討しましょう。
避妊手術を受けた後に妊娠するためには、卵管を元に戻す「卵管形成術」や精管を元に戻す「精管吻合術(せいかんふんごうじゅつ)が必要です。
避妊手術で卵管結紮をしても、卵管を元に戻す卵管形成術を受ければ、自然妊娠できる可能性はあります。しかし、機能回復手術を受けても7~9割は男女ともに自然妊娠ができず、さらに子宮外妊娠の確率が高くなるといわれています。
自然妊娠ができなくても、体外受精を用いることで妊娠することは可能です。
しかし、体外受精などは費用や通院の負担があり、合併症のリスクもあります。一度避妊手術を受けてしまうと、卵管形成術をおこなっても以前の状態に完全に戻せるわけではないため、避妊手術を受けるかどうかは、十分に検討を重ねましょう。
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sobaniコンドーム
コンドームを持つのは性別関係ない
避妊手術は避妊できる確率の高い方法で、一度手術を受けたら一生避妊効果が続きます。しかし、子どもが欲しいと思ったときには機能を回復させる手術が必要ですし、自然妊娠できる可能性は低下してしまいます。
体外受精なども活用しながら妊活する必要が出てくることが考えられますが、そこまで含めて手術を受けるかどうかをパートナーと決める必要があります。
避妊手術による避妊方法については、ほかの避妊方法と同じように、女性が自分の体を守るひとつの方法として知っていると役に立つかもしれませんね。
【参考】
女性の避妊手術はどの方法が安全?4種類の手術を比較 | MEDLEYニュースこの記事を書いた人
美容医療に関する記事の執筆や監修を手がけている。
総合病院で婦人科や外科系病棟で勤務し、多くの経験を積むも出産・育児のため退職。訪問看護ステーションと美容皮膚科・形成外科クリニックとのダブルワークを経て、5人目の出産を機に看護師の資格と経験を活かして美容・医療ライターとして活動の幅を広げている。
【実績】
・医療・美容・健康系から子育てまで多数の分野で執筆
・男性美容メディア「BiDAN」で美容の専門家に認定
・マイナビ「おすすめナビ」のエキスパートに認定
・脱毛サイト「ダツモウ.com」の監修者
・男性美容メディア「DAN LEAD」の記事監修
・子育て相談サイト「子育て相談ドットコム」では豊富な経験からQ&Aに回答中