LGBTQ+のサポートがしたい!アライになるためにできること
皆さんは、アライという言葉を聞いたことがありますか?
アライ(ALLY)とは、もともと英語で「同盟者、支援者、味方、仲間」などの意味を持つ言葉で、「LGBTQ+当事者ではなかったとしてもコミュニティのサポートがしたい/力になりたい」と考える人のことを指します。
「LGBTQ+調査2020」では、LGBTQ+に関する認識に基づいて非当事者を6つのクラスター(※)にわけて分析した結果が公表されましたが、そのなかでは「アクティブサポーター層」に当てはまるクラスターと言えるでしょう。
(※)「LGBTQ+調査2020」における6つのクラスターは「アクティブサポーター層/天然サポーター層/知識ある他人事層/誤解流され層/敬遠回避層/批判アンチ層」。29%が「アクティブサポーター層」とされ、1番ボリュームの大きかった「知識ある他人事層」の34.1%の次に多い人数のクラスターでした。(参考:一番多いのは「知識ある他人事層」~LGBTQ+に対するストレート層のクラスター分析 | ウェブ電通報)
とくに若い世代の方が「LGBTQ+コミュニティの力になりたい!」と声を上げるケースは、近年とても増えているように感じます。
しかし実際どのようにLGBTQ+コミュニティをサポートできるのか、具体的な方法がわからない…という方も多いかもしれません。サポートする方法はたくさんありますが、今回はその一例をご紹介します!
身近な環境を変える
この連載で繰り返しお伝えしてきていることですが、LGBTQ+当事者の割合は11人に1人と言われています。つまり、私たちが日常生活を送るなかでまわりにLGBTQ+当事者がいることは、十分想定されること。
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だからこそ、まずは身の回りの空間を性のあり方に関わらず誰にとっても居心地のよいものにすることが、アライとしてできることの第一歩でもあります。
①差別発言にNOのスタンスを示す
もしまわりでLGBTQ+に関する偏見や誤解のある発言がされたときに、訂正をしてみたり、アウティングをしてしまっている人がいたら注意をしてみたり、そうした小さな行動の積み重ねがとても大切なアクションにもなります。
②アライグッズを身に着けてみる
身の回りでカミングアウトできずに悩みや困りごとを抱えている当事者がいるかもしれません。もちろん、カミングアウトをするかしないかはその人自身が決めることなので、誰も強要することはできませんが、レインボーのグッズを使うなどして「アライがここにいるよ!」と日頃から示すことで、安心できる人がいるかもしれません。
③組織のなかで働きかける
たとえばLGBTQ+に関する勉強会を企画してみたり、LGBTQ+研修を提案したりすることで、アライをさらに増やすことができます。会社や学校のルールなどに対しても
- 同性カップルも異性カップルと同じ扱いを受けられるようにする
- 制服を選べるようにする
- 性自認にそった扱いを受けられるようにする
などの取り組みも、とても大切なアクションとなります。
政治を変えるためのアクションをしてみる
人々の意識や空気だけでなく、今の社会には変えるべき社会の制度や法律がたくさん存在します。
たとえば、今の日本では同性カップルは法律上の結婚をすることができません。それに対して、2019年から全国で同性婚の実現を目指して訴訟が行われています。
同性婚訴訟を応援するアクションの一例は以下の通り。
①同性婚について発信してみる/友達と話してみる
SNSを通して「同性婚に賛成」の意見を発信してみたり、シェアしてみたりすることは、気軽なアクションとしておすすめです。また友達と話すことによって、少しずつアライの輪を広げるきっかけにつながることもあります。
②同性婚の期日(裁判の傍聴)に行ってみる
現在、札幌・東京・名古屋・大阪・九州の5つの裁判が進行していますが、もしこの地域の近くに住んでいる場合、裁判の傍聴に行くことで、裁判所に対して「同性婚に関する世間の注目度の高さ」をアピールすることができます。
同性婚の最新の情報は、「MARRIAGE FOR ALL JAPAN - 結婚の自由をすべての人に(通称マリフォー)」のサイトやSNSからキャッチアップすることができます。
その他、同性婚に関する様々な情報や、裁判の流れなどを弁護士やスタッフの方がわかりやすく発信しているので、ぜひチェックしてみてください。
③政治を変えるアクションをとる!
同性婚をはじめ、あらゆる性のあり方を持つ人の生きやすい社会を作るためには、政治家を動かすことが何よりも大切!
先程、同性婚を求めた訴訟が行われていると書きましたが、同性婚に限らず、法律を作るのはあくまで国会です。つまり、もし同性婚やLGBTQ+の権利について積極的にアクションを起こす政治家を増やすことができれば、裁判の結果を待つことなく、社会の制度や法律が変わるということでもあるのです。
具体的には、
- 地域の政治家に対して陳述書を送る
- 選挙のときには、LGBTQ+の権利に積極的な政治家に投票する
というアクションを取ることができます。
陳述書を送るというのは、少しハードルが高いと感じるかもしれませんが、マリフォーが運営するマリフォー国会メーターでは陳述書のフォーマットも掲載されているので、参考にしてみてください。
以上、アライとして具体的にLGBTQ+コミュニティをサポートする方法の一例をご紹介しました。これ以外にも、サポートする方法はたくさんあるので、ぜひできることから始めてみてください!
大前提として、LGBTQ+に関して知識を得ることは何よりも大切です。
残念ながら「ここまで知れば立派なアライ!」という明確なラインや資格などはありませんが、常に学び続けアクションを積み重ねることで、よりよいアライが1人でも増えると社会は変わっていくのではないでしょうか。
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この記事を書いた人
1993年東京生まれ。早稲田大学卒業。編集ライター。大学在学中よりフェミニズム活動に参加し、署名活動やパフォーマンス、レクチャーなどを行う。ウェブメディア「パレットーク」副編集長をつとめる傍ら、ジェンダーやフェミニズムに関しての執筆や講演を行う。