島袋朋乃先生
産婦人科医師。平成28年に旭川医科大学医学部を卒業後、函館五稜郭病院、釧路赤十字病院を経て、現在は産婦人科医として市中病院で臨床経験を重ねる。総合病院やクリニックで産科、婦人科、生殖医療に携わる。日本医師会認定産業医。日本産科婦人科学会、日本産科婦人科内視鏡学会、日本生殖医学会所属。
島袋朋乃先生
産婦人科医師。平成28年に旭川医科大学医学部を卒業後、函館五稜郭病院、釧路赤十字病院を経て、現在は産婦人科医として市中病院で臨床経験を重ねる。総合病院やクリニックで産科、婦人科、生殖医療に携わる。日本医師会認定産業医。日本産科婦人科学会、日本産科婦人科内視鏡学会、日本生殖医学会所属。
最近、なんだか体調がすぐれない、気持ちが不安定になってしまう……それはもしかしたらホルモンバランスが乱れているのかもしれません。
不規則な生活やダイエットも関係してる?ホルモンバランスが乱れる原因や症状とは?ホルモンバランスを整えるにはどうしたらいいの?そんなお悩みを解決に導きます!
「ホルモン」は、脳や体内の器官で作られており、体のさまざまな機能を整え、調節する大切な役割を担っています。
女性の場合、特に、卵巣で作られる「女性ホルモン」が毎日の健康に影響を与えていると言われています。その女性ホルモンのバランスが乱れると、心や体が不調になってしまうことも……。その原因や症状などを詳しく見ていきましょう。
女性ホルモンには大きく分けて、「エストロゲン(卵胞ホルモン)」と「プロゲステロン(黄体ホルモン)」の2種類があります。
「エストロゲン(卵胞ホルモン)」は、胸の発達をさせたり、丸みのある体*を作ったり、骨密度を保ったり、自律神経を整えたり、子宮内膜を増殖させて妊娠の準備をしたりするなどの役割があります。
思春期から分泌量が増え、閉経が近くなると分泌量が減少していきます。
*丸みのある体・・・エストロゲンには皮下脂肪を増やす役割があります。皮下脂肪がないとエストロゲンが分泌されず、排卵が起こらなかったり、生理がこない恐れがあります。生理を正常に起こすために、私たちは皮下脂肪がつきやすい体、丸みのある体となっています。
「プロゲステロン(黄体ホルモン)」は、基礎体温を上げたり、子宮の働きを調整したり、乳腺を発達させたり、体内に水分をキープするなど、「妊娠」を準備するためのホルモンです。
排卵前には分泌量は少なく、排卵後に分泌量が増えます。生理が始まると分泌量も減少します。
脳の視床下部から脳下垂体へ、次に脳下垂体から卵巣へ指示を出すことで、卵巣でエストロゲンとプロゲステロンが分泌されます。これらのホルモンが一定のバランスで周期的に分泌されることによって、日々、健康に過ごすことができている私たち。
でも、女性ホルモンの分泌が正常に行われなかったり、ホルモンの増減のサイクルが変化したり、若年層ではまだ女性ホルモンの分泌がうまくいかなくなったり、加齢などによって分泌量が減ったりすることがあります。このような状態を「ホルモンバランスが乱れる」といいます。
ホルモンバランスが乱れると、自律神経へも影響するため、全身のさまざまな不調を起こす原因となります。
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ホルモンバランスが乱れるのには主に以下のような理由があります。
ダイエットのために食事を減らして栄養が不足したり、過度な運動をしたり、SNSや動画などを見て夜更かしをしたり、睡眠時間が少ない……など。
無理なダイエット、睡眠不足・睡眠の質が悪い、食事時間の変動や食事内容の量・偏りなどがホルモンバランスの乱れを引き起こすことがあります。
多忙や緊張状態、気温差などのストレスを感じることで、ホルモンの分泌に影響を及ぼしてしまうことがあります。女性ホルモンを出すように指令する脳は、とてもデリケート。
ストレスを受けることで、脳の働きが低下し、ホルモンが上手に分泌できないことがあります。
日本人女性の平均的な閉経の年齢は50歳頃とされており、その前後5年、合わせて10年ほどを更年期と呼びます。
この更年期を迎えると、加齢によってホルモンが減少し、バランスが乱れることにより、体内の機能が低下して不調が表れやすくなります。
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ホルモンのバランスが乱れると、生理に関する不調をはじめ、さまざまな症状が現れます。
上記で紹介した「ホルモンバランスの乱れによって起こる症状」で当てはまることがある人は要注意です!
さらに、こんなことを感じることはありませんか?
倦怠感や疲れがとれない、からだや顔がむくみやすい、肌が荒れやすい、おりものが多い、抜け毛や薄毛、髪の毛がパサつく、ドライアイ、ドライマウス、寝つきが悪い、便秘や下痢が続いている……。
ほかの病気などでも似たような症状が出る場合もありますが、心や体の不調が長期的に続いている場合は、ホルモンバランスの乱れが起こってしまっている可能性も考えられます。
ホルモンバランスを整えるには、規則正しい生活をしてストレスを溜めないことが大切です。
たんぱく質、脂質、糖質を中心としたバランスのよい食生活をこころがけましょう。野菜に多く含まれるビタミン・ミネラル類、食物繊維も健康の維持には不可欠です。まんべんなくさまざまな食材から栄養を摂ることが大切です。
肉や魚からは動物性たんぱく質、大豆や小麦などからは植物性たんぱく質、青魚からはDHAやEPA、野菜からはビタミン類、海藻からはミネラルや無機質、きのこ類からは食物繊維やビタミン、ミネラル、いも類からはビタミン、カリウム、食物繊維、ナッツ類からはビタミン・鉄・亜鉛を摂ることができます。
慢性的な睡眠不足は、ホルモン分泌や自律神経にも影響することから、十分な睡眠不足をとることが大切です。22時頃には布団に入り、6~8時間くらいの睡眠をとることが望ましいといわれています。
また、睡眠時間だけでなく、深い眠りを得られる良質な睡眠であることが重要です。
女性ホルモンのバランスの変化があるところに、ストレスが加わることで、心や体が不調になるさまざまな症状が現れることがあります。
適度な運動や趣味など、日頃よりストレス解消になるものを見つけておいたり、スマホなどを見る時間を減らしてのんびりする時間を設けて、ストレスを溜めないことが大切です。
漢方薬は「加味逍遙散(かみしょうようさん)」「桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)」「当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)」などが、女性ホルモンバランスの乱れを整えるといわれています。市販もされていますので、試してみてもいいかもしれません。
あまりにも症状がつらい場合や日常生活に支障をきたしてしまう場合、毎日の生活を見直しても症状の改善が見られない時などには、産婦人科で相談してみてくださいね。
症状や状況、環境によって、服用すべきサプリメントや漢方薬も異なることが考えられます。また、低用量ピルをはじめとするホルモン製剤で症状が落ち着く場合もあります。
まずは、自分の症状がホルモンバランスの乱れが原因なのか相談し、自分に合った対処をしていきましょう。
年齢に関係なく、ホルモンバランスは乱れることがあります。日々忙しいと、「なんとなく調子が悪い」と感じていても、原因がわからなかったり、改善しようと行動に起こせないことも多いかもしれません。
夜更かしして、次の朝に肌荒れが目立つ、疲れやすい、便秘、イライラするなど、心と体のあらゆる部分に影響を及ぼす「ホルモンバランスの乱れ」。
もし、今回紹介したような症状を慢性的に感じているようなら、その症状を軽く、または無くして、日々を快適に健やかに過ごせるようにしていきたいですね。
【参照】
年齢とともに変化!女性ホルモン|知っておきたい女性のカラダと健康のこと|女性のための健康ラボ Mint+この記事を書いた人
FMラジオ放送局、IT系企業での仕事人生活を経て、フリーランスライター。
生理を扱う地上波番組やがんサバイバーの女性の暮らしをサポートするアイテムに関する記事執筆、
フェムテック関連の記事の制作を担当するなど、「誰もが自分らしく輝く」ことができるような情報発信を
心がけています。そのほか、メディア媒体、企業のオウンドメディア、 企業サイトのコンテンツ制作など、
さまざまな分野のライティングに携わっています。