知って得する生理と排卵日の違い!排卵日の予測方法や排卵によって体におこる変化

公開日 2021-12-06 更新日 2021-12-06

記事監修医

フィデスレディースクリニック

松本智恵子先生

滋賀医科大学卒業。京都大学医学部婦人科学産科学教室に入局後、 大津赤十字病院、洛和会音羽病院などを経て、フィデスレディースクリニックで勤務。
産婦人科専門医、日本女性医学会会員。

生理は知っていても排卵日までは知らない、という方は意外と多いようです。
この2つの関係や違いを知り、排卵日の予測ができれば妊娠しやすい期間や避妊できる時期も分かるようになります。

パートナーと性交渉のタイミングをはかるための、ひとつのツールとして自分で排卵日予測をしてみましょう。

生理と排卵日の関係

女性には妊娠するための体のしくみとして、だいたい毎月1回ずつ生理と排卵があります。

生理は妊娠しなかったときに起こる現象で、受精卵が着床しやすいように厚くなった子宮内膜をきれいに取り去り、次の受精卵を新しい子宮内膜で迎えるための準備をします。子宮内膜が厚くなったり剥がれたりと変化するサイクルを「生理周期」といい、「排卵日」は生理周期の中にあります。

この生理周期と排卵日は女性ホルモンによってコントロールされています。

まず生理出血が始まると、排卵するための卵子を育てるために卵胞刺激ホルモン(FSH)が分泌されます。卵胞が十分に育つと今度はエストロゲン(卵胞ホルモン)が分泌され、徐々に子宮内膜が肥えて厚くなっていきます。この生理から排卵までの期間を「卵胞期」といいます。

子宮内が着床しやすい状態になったら、黄体形成ホルモン(LH)が一気に大量分泌されて「排卵」のスイッチが入ります。LHが急上昇すると、成熟した卵胞が破れて、中の卵子が卵巣の外へでてくるメカニズムです。排卵が起きた当日を「排卵日」といいます。

排卵後は破れた卵胞がプロゲステロン(黄体ホルモン)を分泌し、受精卵が着床しやすいように子宮内膜をキープする「黄体期」に突入します。

卵子の寿命は排卵から6~24時間。
この間に受精卵となり着床できなければ、約2週間の黄体期のあとに訪れる生理によって、子宮の中は一度リセットされた状態になります。生理と排卵はそれぞれに妊娠のための準備なのです。

排卵日と危険日の違い

排卵日と危険日は似ているので混同されがちですが、排卵日は卵子が卵巣から排出された当日だけです。排卵日を含めた前後数日を一般的に危険日といい、排卵日と異なり数日間の幅があります。

排卵と受精(妊娠)のタイミングについて

卵子が精子と出会って受精しやすいタイミングは決まっていて、排卵直後もしくは狭い卵管を通りぬけている間です。子宮内に出てしまうと妊娠する確率はかなり低くなります。

精子の寿命は射精から2~3日なので、排卵日の1~2日前から精子が子宮内に滞在していれば、妊娠する可能性が高くなります。逆に言えば、この排卵日前後以外は性交渉をしても妊娠することはほとんどありません。

生理中は妊娠しないの?

生理中は妊娠しにくいと聞いたことがあるかもしれませんが、生理中であっても妊娠する可能性はあります。

通常であれば、排卵のあと2週間空いてから生理がくるため、妊娠する確率は低いとされています。しかし、実際には生理周期の乱れや精子が長生きしていることがあり、100%妊娠しないわけではありません。また生理周期が不規則な方であれば、生理の出血だと思っていたら実は不正出血で、本当の生理ではなかったということもありえます。

生理中は性交渉によって痛みを感じやすく、膣壁にも傷がつきやすい状態です。膣や子宮の中がいつもよりもデリケートになっていると、細菌感染や性感染症のリスクも高くなります。

女性の体を守るためにも、妊娠の可能性に関わらず生理中もコンドームを使用するのがおすすめです。

排卵日を生理周期から推測する方法

生理周期が決まった日数で訪れる場合、周期の流れをある程度予測することで排卵日を計算できます。ここでは標準的な28日を1周期として、単純計算で排卵日を算出してみましょう。

分かりやすく考えると、生理周期の流れの中に生理と排卵があり、周期のはじまりに生理がきて真ん中くらいで排卵が起きます。

生理が始まった日を1日目とすると、子宮内膜が厚くなる期間(卵胞期)が約14日続くので、この前後で排卵が起こることが予測できます。排卵から次の生理がくるまでの黄体期は同じく約14日間あるので、逆算すると生理予定日から約14日前に排卵すると考えられます。

つまり排卵日は、生理開始から14日後、もしくは次回生理予定日より14日前となります。

検査薬で排卵日を知る方法

ただし、定期的にきている生理周期が絶対にずれない確証はなく、周期には個人差もあって危険日の予測にしかなりません。もし、危険日ではなく確実に排卵日を予測したいのであれば「排卵日検査薬」を使ってみましょう。

排卵日検査薬は、排卵を直接引き起こすLHの分泌を尿から判定できるようになっており、ドラッグストアや調剤薬局で手軽に購入できます。排卵日予測検査薬といくつかの排卵日予測法を組み合わせれば、かなり正確な排卵日を予測できるようになります。

体の変化から排卵日を推測する方法

ホルモンバランスによって起こる体の変化は、生理や排卵だけではありません。これらと同時に体温やおりもの、体調にもさまざまな変化が起こるため危険日を予測に役立ちます。

専用体温計で測った基礎体温の変化:検査薬との組み合わせがおすすめ

「基礎体温」という言葉を聞いたことはありますか。
毎朝起床直後に、基礎体温計(婦人体温計)で測定した体温のことです。基礎体温の測定を行うと、生理周期による変化が現れるため排卵日を予測することができます

基本的に、前半の卵胞期は比較的低い体温が続き(低温期)、排卵を機に黄体期の間ずっと体温が高くなります(高温期)。
しかし、この上下の変動は微々たるもので、通常の体温計では測定することができないため、小数点以下2桁まで測定ができる、婦人体温計を使用する必要があります。また、排卵日を予測するためには、生理周期による変動を継続的にチェックする必要があります。

注意したいのは、基礎体温による排卵日の予測は確実ではないということ。グンと体温が上昇してきたタイミングを見つけても、低温期も含めて前後2~3日の間で排卵が起こる(起こった)であろう危険日を絞り込むのが限界です。

しかし、排卵日予測検査薬と組み合わせれば、より精度があがります。基礎体温で排卵日を予測するのであれば、必ず専用の体温計を使用し、最低でも3カ月続けてグラフを記録することです。だいたいの体温変動リズムがつかめてから予測を開始するようにしましょう。

おりものに粘り気がでてきたら排卵の兆し

生理中の出血はのぞいて、おりものを観察するとおよその排卵時期が分かります。なぜなら、おりものはエストロゲンによって性質が変化するからです。

通常ならサラサラとした透明な液体状ですが、排卵が近くなると粘り気がでてきて糸を引くようなおりものが増えます。排卵日当日には、おりものの量は減ることが多く、だいたい排卵の2日前が一番おりものが多いと感じるようです。

排卵日にはむくみやだるさ、痛みを感じる人も

排卵は女性ホルモンによってコントロールされていますが、体調もホルモンの影響を強く受けます。
特に排卵日はLHホルモンの急激な上昇により排卵が起こることで、エストロゲンが増えた卵胞期からプロゲステロンが増えていく黄体期への移行していきます。むくみや腰痛、身体のだるさ、めまいなど体調に異変を感じる人もいます。

また、腹痛や下腹部痛が起きる「排卵痛」を伴うことがあります。排卵の際に卵巣が傷ついて炎症を起こすことが原因だと考えられています。ほかにも、卵胞が破れることで腹腔内(ふくくうない)に卵胞液や少量の出血が放出されることで、起こる刺激による痛みだという説もあります。これらの症状は生理のときのような持続性はなく、排卵前後の短期間です。

まとめ

生理と排卵の違いが分かりましたか?

生理周期が不定期でなければ、自分で排卵日を予測することは決して難しいことではありません。いろいろな予測法をうまく組み合わせていけば、より正確な予測ができるようになるので妊娠・避妊のどちらの場合でも性交渉のタイミングをはかる選択肢として使えます。うまく活用して自由で安心な性生活を送りましょう。

参考

赤ちゃんが欲しい方へ|排卵日予測検査薬 P-チェック・LHクリアリー
生理中の性行為にリスクはありますか。 | オムロン式美人
排卵日前後に起こりがちな体調不良の症状と対策 | ロート製薬: 商品情報サイト
排卵日と妊娠の関係って?|ハイテスター
排卵日の基本を解説 | ロート製薬: 商品情報サイト

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