フィデスレディースクリニック
松本智恵子先生
滋賀医科大学卒業。京都大学医学部婦人科学産科学教室に入局後、
大津赤十字病院、洛和会音羽病院などを経て、フィデスレディースクリニックで勤務。
産婦人科専門医、日本女性医学会会員。
フィデスレディースクリニック
松本智恵子先生
滋賀医科大学卒業。京都大学医学部婦人科学産科学教室に入局後、
大津赤十字病院、洛和会音羽病院などを経て、フィデスレディースクリニックで勤務。
産婦人科専門医、日本女性医学会会員。
20歳になって、自治体から子宮頸がん検診のお知らせが来たけれど、まわりの友達も誰も受けていないし……。
20代でも子宮頸がん検診や乳がん検診などの婦人科検診は受けた方がいいの?どんな検診があるの?など、疑問に思ったことがあるかもしれません。
今回は、20代でも婦人科検診を受けた方がいい理由や婦人科検診の種類など、婦人科検診を受けるか迷っている場合や、はじめて婦人科検診を受けるときに知っておきたい情報を紹介します!
「婦人科検診」とは、女性特有の器官に現れる病気の早期発見を目的とした検診です。
検診の内容によって推奨年齢は異なりますが、20代から受けることが勧められているのが子宮頸がん検診です。
子宮頸がんは、性交渉によってヒトパピローマウイルスに感染することが、主な原因の一つです。
そのため、性交渉経験がない場合は、必ずしも子宮頸がん検診を受けなくてはいけないわけではありません。しかし、不正出血がある場合などは検査することが考慮されますので、産婦人科で相談してくださいね。
20代だと、あまりがん検診を受けることは身近ではないかもしれませんが、20代に検診を受けてほしい理由があります。
それは、子宮頸がんは、20歳代後半から30歳代後半でもかかりやすい病気であり、最近は若い世代の子宮頸がんが増加していることがあげられます。
初期段階では自覚症状が出ないことも多く、検診を受けないと気がつきにくいです。
適切に検診を受けることで、早期発見・早期治療ができる可能性があります。前がん病変の段階(※)で病気を見つけることができれば、病気が進行する前に対応することができます。
子宮頸がんが進行してしまうと、子宮を摘出する必要が出てくることもありますので、検診による早期発見によって適切な治療ができるようにしましょう。
厚生労働省は2004年に市区町村が行う子宮頸がん検診の対象年齢を「30歳以上」から「20歳以上」に引き下げ、若い年齢層から子宮頸がん予防に力を入れていくことになりました。しかし、2013年の日本の子宮頸がん検診の受診率は42%(20-69歳)、20歳代となると25%くらいと低くなっています。
世界に目を向けてみると、同じく2013年のイギリスは78%、2012年のアメリカでは85%と高い受診率です。
このような背景もあり、日本ではまわりに検診を受けたことがある人が少ないかもしれません。しかし、がんや前がん病変を見つけるためには、婦人科検診を受けることがとても重要です。
子宮頸がん検診は、問診、視診・内診、細胞診が行われます。
問診では、直近の生理の状況や妊娠・出産経験の有無などを聞かれます。視診では、クスコ(腟鏡)と呼ばれる器具を入れて、子宮頸部の状態を確認します。
内診では、医師が指を膣の中に入れて、反対の手でお腹を押していくことで、子宮や卵巣の大きさを確認します。
細胞診では、顕微鏡で異常な細胞がないかを調べるため、医師が子宮頸部から専用のヘラやブラシなどで細胞を取ります。細胞採取は数秒程度で終わり、痛みもほとんどありません。デリケートな部分なので多少出血してしまうこともありますが、その後、お風呂などの日常生活に問題はありません。
乳がん検診では、問診、視診、(触診)、マンモグラフィ検査、超音波検査(エコー)が行われます。
マンモグラフィ検査は乳房専用のX線検査で、左右の乳房を片方ずつ2枚の板で挟み、乳房全体を撮影し、異常がないか探します。
超音波検査は、乳房用の超音波を乳房に当てて、異常がないかを確認していきます。
20~30代の若い女性の場合は乳腺が発達していることから、マンモグラフィ検査では診断が難しいこともあるので、超音波検査を勧められる場合があります。
経膣エコー検査は、超音波(エコー)検査法の一つで、腟の中に細長いエコーの機械(プローブ)を挿入し、子宮や卵巣などを超音波で観察します。
内診とは違って、実際に画像を見ることができるため、子宮筋腫・子宮内膜症・卵巣のう腫などの子宮や卵巣の病気を発見することができます。
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婦人科検診の推奨年齢は検診により異なります。
厚生労働省では、子宮頸がん検診は20歳以上の人に2年に一度、乳がん検診は40歳以上の人に2年に一度の受診を推奨しています。乳がんは40歳代後半から50歳代が発症のピークだといわれています。
そのため、日本ではマンモグラフィーによる乳がん検査は40歳以上に推奨されています。しかし、20〜30代でも乳がんになる可能性はありますので、セルフチェックをしたり、気になる症状あれば、すぐに医療機関を受診しましょう。
また、子宮頸がん検診については、生理中だと正しい結果が得られない可能性もあります。生理の日は避けるか、事前に医療機関に相談してください。
子宮頸がん検診や乳がん検診については、自治体で検診無料クーポンが発行されたり、公費で一部負担が軽減される場合があります。
一般に、子宮頸がん検診の無料クーポンは対象が20歳以上、乳がん検診の無料クーポンは40歳以上となっています。
自治体によって対応が異なるので、公費負担の対象や使える医療機関などの情報については、お住まいの市区町村に確認してみてくださいね。
また、クーポン以外にも、職場から補助がでる場合もありますので、確認してみるといいですね。
自治体で検診を受ける場合はお知らせが届きますので、そちらに従いましょう。
集団検診の場合は予約なしで、決まった日程に会場に行き受診する場合もありますし、市区町村によっては予約が必要な場合もあります。
医療機関で個別に検診を受ける場合は、電話やインターネットなどでの予約が必要な場合もあります。不明な点は市区町村や医療機関にお問い合わせください。
子宮頸がん検診のときの内診や経膣エコー検査は、下着を脱いで診察しますので、ゆったりしたスカートなら診察台の上でめくるだけで済みます。パンツ(ズボン)や補正下着などはすべて脱ぐことになりますので、ご注意を。
乳がん検査に関しては、上半身だけ脱いで検査着に着替えたり、バスタオルを巻いたりするので、上下セパレートの服がおすすめです。
特に検診車で検診を受ける場合は、着脱しやすい服がおすすめです。
婦人科検診の際にも、医療機関を受診するときと同様に、保険証やお金を準備しましょう。
問診では、初経や前回の生理が始まった日、生理周期などを聞かれることがありますので、そのような情報をまとめておくと慌てず答えることができますよ。
また、検診のときに出血をすることがありますので、ナプキンを持っておくと安心です。
婦人科検診のときの持ち物
子宮頸がんや乳がんなど、聞いたことはあってもまだなかなか婦人科系の病気への実感がない場合も多いかもしれません。
若年層でのがんや前がん状態が増加傾向にあるといわれており、定期的に検診を受けておくと安心です。また、乳がんについては自分で胸を触ってしこりなどがないか、日頃からセルフチェックを行うことも大切。
生理以外の不正出血や何か変だな……と体や生理の状態に違和感を覚えたら、早めに医療機関で相談してくださいね。
「今はまだ」ではなく「今から」自分の体を大切にしていきましょう。
【参考】
がん検診推進事業について|厚生労働省この記事を書いた人
FMラジオ放送局、IT系企業での仕事人生活を経て、フリーランスライター。
生理を扱う地上波番組やがんサバイバーの女性の暮らしをサポートするアイテムに関する記事執筆、
フェムテック関連の記事の制作を担当するなど、「誰もが自分らしく輝く」ことができるような情報発信を
心がけています。そのほか、メディア媒体、企業のオウンドメディア、 企業サイトのコンテンツ制作など、
さまざまな分野のライティングに携わっています。