島袋朋乃先生
産婦人科医師。平成28年に旭川医科大学医学部を卒業後、函館五稜郭病院、釧路赤十字病院を経て、現在は産婦人科医として市中病院で臨床経験を重ねる。総合病院やクリニックで産科、婦人科、生殖医療に携わる。日本医師会認定産業医。日本産科婦人科学会、日本産科婦人科内視鏡学会、日本生殖医学会所属。
島袋朋乃先生
産婦人科医師。平成28年に旭川医科大学医学部を卒業後、函館五稜郭病院、釧路赤十字病院を経て、現在は産婦人科医として市中病院で臨床経験を重ねる。総合病院やクリニックで産科、婦人科、生殖医療に携わる。日本医師会認定産業医。日本産科婦人科学会、日本産科婦人科内視鏡学会、日本生殖医学会所属。
生理じゃないのに生理中みたいな腹痛や頭痛がある……。
「もしかして病気かも?」と不安に思うかもしれませんが、実は排卵日が原因かもしれません。生理中のように、排卵日前後も女性ホルモンが乱れるため、めまいや頭痛などの症状が現れる人もいます。
今回は、排卵日の前後によくみられる症状を紹介し、排卵日とは何か、どうして症状が起こるのかといった情報を紹介します。あなたの症状は排卵日が原因なのか、照らし合わせながら読んでみてくださいね。
排卵日の前後に起きやすい症状は、おりものの増加や腹痛、頭痛、出血、めまいなどです。生理でもないのに出血やめまいがあると驚いてしまうかもしれませんが、排卵日前後はごく少量の出血が起こる可能性もあります。
それぞれの症状について、詳しくみていきましょう。
排卵日が近づくと、おりものが増加することもあります。
おりものの増加は性感染症(STD)でも起こるため、少し不安に思うかもしれません。しかし排卵日前に、透明で粘り気の強いおりものが増加するのは生理現象です。
おおよそ3日おりものの増加が続き、排卵日当日からおりものの量は減少します。
ただし、透明ではなく黄色い膿のようなおりものが増えた場合は、排卵日ではなく性感染症の可能性があります。排卵日特有のおりものは、透明でにおいがほとんどないことが特徴です。
腹痛も排卵日前後に起こりやすい症状のうちの1つです。
一般的には、排卵日の前後1〜2日に排卵痛と呼ばれる腹痛が起こることがあります。排卵痛とは、卵子が卵巣から排出される際に、卵子を包む卵胞が破れるときの痛みです。
ごく弱い痛みのこともあり、人によって痛みの有無や程度が異なります。ただし、痛み止めを使用しないといられないような痛みが続く場合は、子宮内膜症や子宮筋腫などの病気も考えられます。
卵子が排卵されるときに、破れた卵胞から卵胞液や血液が出るため、排卵日前後には出血も起こることがあります。排卵が原因の出血は排卵出血と呼ばれ、排卵日の前後2〜3日に起こります。
「不正出血じゃないの?」と不安に思うかもしれませんが、排卵出血は病気ではないので心配はいりません。ただし、出血が続く場合や出血量が多い場合は、婦人科を受診すると安心です。
排卵日前後に頭痛が起こるという人もいるかもしれません。
頭痛のなかでも偏頭痛は、女性ホルモンのバランスが乱れて引き起こされると考えられています。排卵日前後は女性ホルモンが乱れる時期のため、偏頭痛が起きやすくなります。
偏頭痛とは、頭の片側または両側が脈に合わせてどくんどくんと痛む頭痛です。体を動かすと痛みが強くなるのも特徴で、吐き気をもよおす人もいます。
おりものの増加や腹痛、出血、頭痛のほかにも、排卵日の前後は人によってさまざまな症状が現れます。たとえば、めまいやだるさ、むくみ、眠気などです。
生理中にも似たような症状が起こることがありますが、それと同様に、いずれの症状も女性ホルモンの乱れが原因となって起こります。
この記事を読んでいる人におすすめ商品
やわらかっぷ
月経カップ挿入の不安を少しでも軽減したい方におすすめ
まずは排卵日の仕組みを簡単に理解しておきましょう。
自分の体の中で何が起こっているのかを知ると、適切な対処ができるようになります。
そもそも排卵日とは何でしょう?
生理と排卵日は混同されやすいですが、生理が起こる時期とは別に起こる現象です。
卵巣では卵胞から卵子が作られており、1カ月に1個成長した卵子が子宮へ排出されます。卵子が排出される現象を排卵と呼び、この前後に女性ホルモンが普段と異なる働きをしてさまざまな症状が現れます。排卵の周期は、個人差はありますがおおよそ28日とされ、1カ月に一度起こるしくみです。
排卵された卵子が精子と結びつくと妊娠し、結びつかなければ分厚くなった子宮の内膜と呼ばれる部分が剥がれ落ちます。これが生理です。
では、排卵日は具体的にいつなのでしょう?
排卵が起こるのは、生理が始まってから14日後くらいです。排卵日は、体温でも調べることができます。低温期と呼ばれる生理中から卵胞が成長する卵胞期を経て、大きく体温が下がった日から1〜2日で排卵が起こります。
その後は体温が0.3〜0.5度高くなった状態が14日ほど維持され、再び低温期に入る流れです。
排卵日を正確に知るためには、毎日体温を測って基礎体温を記録しましょう。ちょうど排卵の前後に、症状が重なっていれば排卵による体調不良と判断できます。
排卵日に頭痛やめまい、だるさが起こる理由は、女性ホルモンの乱れが原因です。
女性ホルモンには、エストロゲン(卵胞ホルモン)とプロゲステロン(黄体ホルモン)があります。エストロゲンは脳から分泌される卵胞刺激ホルモンから刺激を受けて、卵胞から分泌されます。
またプロゲステロンは、エストロゲンが減少してくるのを感知して、脳からの指令で分泌されるホルモンです。
生理が終わるとエストロゲンが増加し、排卵が促されます。このときエストロゲンは大きく上昇し、そして減少するため、ホルモンバランスが乱れて症状が起こりやすくなる原因です。
排卵後は生理へ向けてプロゲステロンが増加し始め、生理中の体調不良を引き起こします。
この記事を読んでいる人におすすめ商品
ベア シグネチャーショーツ 03
突然のタイミングや多い日の味方になる吸水ショーツ
つらい排卵日の症状を和らげるには、体を温めたりマッサージしたりと体をいたわることも重要です。また、生活習慣を整えると症状が改善する可能性があります。
最後に、排卵日のつらい症状を抑える対処法について紹介します。
「排卵日の症状かな?」と思ったときに試してみてくださいね。
排卵日の前後につらい症状が起こったら、まずは体を温めましょう。とくにお腹や腰、足を中心に温めます。
体を温めると血流がよくなり、頭痛や腹痛などの症状が軽減することもあります。
反対に、血流が悪くなるような締め付けの強いタイツや洋服は避けましょう。冷たい飲み物ではなく、温かい飲み物を飲むだけでも体が温まりますよ。
また、面倒だからとシャワーで済まさず、ゆっくり湯船に浸かって全身を温めましょう。
生活習慣を整え、十分な睡眠をとることも排卵日の症状を和らげる対処法の1つです。
寝不足や生活習慣の乱れは、女性ホルモンの乱れにつながります。女性ホルモンのバランスが乱れると、排卵日前後の症状が強く出ることもあるため、規則正しい生活を心がけましょう。
必要な睡眠時間は人によってさまざまです。起きたときに頭がすっきりしていれば、十分な睡眠がとれているといえます。
排卵日の症状がひどいときは、ストレッチやマッサージで血行をよくしましょう。
腹痛や頭痛があるときに無理は禁物ですが、ある程度動けるようなら、体を伸ばすだけでも血流が改善されます。
血流が悪いと、血管が収縮してしまい頭痛やむくみにつながります。足や腕、首を軽くマッサージすると血管が刺激され、血流がよくなって症状が改善されるでしょう。
この記事を読んでいる人におすすめ商品
Inumaki 婦人科検診ズボン
少しでも安心して検査を受けられるアイテム
排卵日の症状は、生理的な現象で病気ではありません。生理周期に合わせて月1回のサイクルで起こります。
生理とは違うタイミングで、腹痛や頭痛、出血などが起こったら排卵日による症状を疑ってみましょう。排卵日に伴う症状は、体を温めたりストレッチやマッサージで改善したりすることもあります。
ただし、痛みの強い腹痛や頭痛、大量の出血には病気が隠れているかもしれません。不安に思うときは、近くの婦人科を受診してみてくださいね。
参考
排卵日前後に起こりがちな体調不良の症状と対策 | ロート製薬: 商品情報サイトこの記事を書いた人
元臨床検査技師の医療ライター。国家資格取得後、約450床の総合病院に勤務。産婦人科外来にて、検査・採血業務に4年間従事した。専門は感染症学。現在はフリーランスライターとして医療に携わる。