島袋朋乃先生
産婦人科医師。平成28年に旭川医科大学医学部を卒業後、函館五稜郭病院、釧路赤十字病院を経て、現在は産婦人科医として市中病院で臨床経験を重ねる。総合病院やクリニックで産科、婦人科、生殖医療に携わる。日本医師会認定産業医。日本産科婦人科学会、日本産科婦人科内視鏡学会、日本生殖医学会所属。
島袋朋乃先生
産婦人科医師。平成28年に旭川医科大学医学部を卒業後、函館五稜郭病院、釧路赤十字病院を経て、現在は産婦人科医として市中病院で臨床経験を重ねる。総合病院やクリニックで産科、婦人科、生殖医療に携わる。日本医師会認定産業医。日本産科婦人科学会、日本産科婦人科内視鏡学会、日本生殖医学会所属。
低用量ピルを服用すると、まれに血液検査でひっかかる方がいます。
とくに血栓症の発症は命にかかわるため、問診や血液検査を定期的に行って経過をチェックします。
今回は低用量ピルで血栓症が起こる理由や検査に引っかかりやすい方の特徴について解説します。
血栓症の初期症状や低用量ピル以外の治療・避妊方法についても知ることができます。
血栓症について不安がある人は、ぜひ参考にしてください。
低用量ピルを処方してもらうときには血液検査と問診を行います。さらに服用開始から1カ月、そのあとは3カ月おきに定期的な検診を行います。
基本的な検査内容は、問診、血圧測定、体重測定です。血液検査は1年に1回くらい行います。全身の健康状態やピルによる副作用の症状などをチェックします。
最初の問診では既往歴や生活習慣、家族歴などを聞いて、血栓症になりやすいかどうかを確認します。
一般的な血液検査では赤血球やヘモグロビン、白血球、コレステロール値や中性脂肪などを調べますが、血栓症が疑われる場合には「血液凝固検査」という血栓症の発症を調べる検査を行います。
とくに「Dダイマー」は血栓がつくられると高くなりますが、血栓がなくても上昇することがあるため、必要に応じて追加検査や厳重な経過観察を行います。
血栓症は低用量ピルを服用し始めてから3カ月以内に発症することが多く、最初の3カ月以内の問診や検査は特に重要です。
月経困難症などの治療や避妊目的で低用量ピルを服用している人は、長期間にわたり服用を続けていくことが多く、副作用を早い段階で発見することは健康を守るためにもとても大切です。
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低用量ピルを服用していると、吐き気や食欲不振、下痢などさまざまな副作用が起こります。
消化器症状などは一時的な症状で、訴える人が多い副作用ですが、ほとんどの人は1~2カ月くらいで改善します。まれに命にかかわる重大な副作用「血栓症」を起こすことがあります。
血栓症は、血管の中を流れる血液の中に塊ができてしまう病気です。血管が細くなっている部分では塊が栓をしてしまうため、その先の血流を止めて循環障害を引き起こすことがあります。
低用量ピルを服用すると、服用していない人と比べて2~3倍の確率で血栓症を発症することが分かっています。服用していない人で血栓症を発症する人が1万人中1~5人なのに対し、低用量ピルを服用している人では1万人中3~9人が血栓症を発症します。
低用量ピルを服用してすぐに血栓症を発症するわけではありません。多くは服用開始から3~6カ月で発症しやすいことが分かっていて、この時期を過ぎれば血栓症を起こす確率は低くなります。
なぜ低用量ピルを服用すると血液が固まりやすくなるのかというと、低用量ピルには女性ホルモンのひとつであるエストロゲン(卵胞ホルモン)が含まれており、エストロゲンには血液を固まらせる作用があるからです。
低用量ピルを服用していなくても、いくらかの人は血栓症を発症する可能性があります。体質や生活習慣は血栓症の発症に大きく影響しているからです。
ピルの服用中にDダイマーの検査にひっかかった人のなかには、すでに体質や生活習慣などで血栓症を発症しやすい因子を持っていた人もいます。
血栓症リスクがある場合、低用量ピルを服用するとなると細心の注意が必要です。
当てはまる項目がある場合、低用量ピルを処方しないクリニックもあります。血栓症が疑われる人ではDダイマー検査を行っていきますが、自分でも日頃から体調の変化をみていきながら、次に挙げるような血栓症の症状がないかチェックしましょう。
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低用量ピルは、生理不順の治療や避妊などで服用している人が多くいます。
もしDダイマーの検査にひっかかった場合には、低用量ピルを服用できなくなったことで生活に支障がでてくる方もいるでしょう。
低用量ピルの服用を安心して続けられるように、生活のなかでちょっと意識して行動すれば、血栓症をある程度予防することができます。
デスクワークで長時間にわたって同じ姿勢を取り続けてしまう人は、血流が悪くなりやすいため適度に休憩を取ってストレッチなどで体を動かしましょう。着圧ソックスを履いておくと、ちょっとした動きでも血流がよくなります。
水分が不足すると血栓ができやすくなるので、運動や入浴など汗をかく前には水分を摂取し、1日1.5リットル程度の水分をとるようにしましょう。また、疲労やストレスも血栓症を引き起こす可能性があるため、気分転換やリフレッシュも大切です。
好きなことをする時間を定期的にスケジュールに入れていきましょう。
低用量ピルの服用中にDダイマーの検査でひっかかった人は、低用量ピルの服用を続けることはできません。
しかし、血栓症のリスクが高い方やDダイマーの検査にひっかかった人でも服用できる「ミニピル」「ジエノゲスト」があります。
そもそもピルが血栓をつくりやすいのは、配合されているプロゲスチンが原因です。ミニピルやジエノゲストには血栓症のリスクを高めるプロゲスチンが配合されておらず、プロゲステロンだけが配合されています。
ミニピルやジエノゲストは生理不順や子宮内膜症の治療にも使用されていて、血栓症のリスクが高い人でも服用できます。ただし、低用量ピルと違って毎日服用する必要があります。また、ジエノゲストは月経困難症や子宮内膜症の治療薬なので、避妊目的で服用することはできません。
ほかにも、生理痛や過多月経で困っている人には漢方薬やミレーナもあります。避妊目的ならミレーナを検討しましょう。
どれもメリット、デメリットがありますが、自分の生活スタイルに合った方法を選ぶと無理なく続けられます。
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低用量ピルには重大な副作用もあり、問診や定期検査で副作用がでていないか確認することができます。血栓症のリスクが高いのであれば、低用量ピルを安全に使用するためにも正確に問診を記入しましょう。
また、検診だけに頼るのではなく、低用量ピル服用中は自分でも疑わしい症状がないか体調の変化も気にしておきましょう。
血圧や体重、血液検査にひっかかってピルが服用できない場合にも、代用できる治療方法はあります。主治医と相談をして、自分に合った方法を検討してみてくださいね。
【参考】
(1)月経困難症 – 日本産婦人科医会この記事を書いた人
美容医療に関する記事の執筆や監修を手がけている。
総合病院で婦人科や外科系病棟で勤務し、多くの経験を積むも出産・育児のため退職。訪問看護ステーションと美容皮膚科・形成外科クリニックとのダブルワークを経て、5人目の出産を機に看護師の資格と経験を活かして美容・医療ライターとして活動の幅を広げている。
【実績】
・医療・美容・健康系から子育てまで多数の分野で執筆
・男性美容メディア「BiDAN」で美容の専門家に認定
・マイナビ「おすすめナビ」のエキスパートに認定
・脱毛サイト「ダツモウ.com」の監修者
・男性美容メディア「DAN LEAD」の記事監修
・子育て相談サイト「子育て相談ドットコム」では豊富な経験からQ&Aに回答中