SOGI(ソジ)って知ってる?誰もが持つ「性のあり方」について解説
「SOGI(ソジ)」という言葉を聞いたことがあるでしょうか?
最近は「SOGIハラ」という言葉を通して、目にしたことのある人も多いかもしれません。
LGBTQ+とあわせて「性の多様性」などの文脈で使われる機会も増えてきたSOGIですが、まだまだLGBTQ+と比べるとその言葉の認知度は高くありません。
しかし、このSOGIという言葉を理解することで、性の多様性についての理解度がぐっと深まるので、今回はあらためて復習してみたいと思います!
SOGIの意味とは?
SOGI(ソジ)とは、性的指向(Sexual Orientation)と性自認(Gender Identity)の頭文字をとった略称です。
まずは性的指向と性自認についておさらいしてみましょう。
・性的指向(Sexual Orientation):どのような性の相手を好きになるか
具体的には、レズビアン、ゲイ、バイセクシュアル、ヘテロセクシュアル(異性愛)、Aセクシュアル(※1)などが「SO(性的指向)」に当てはまります。
※1 性的欲求や恋愛感情を持たない、持ちづらいセクシュアリティのこと
・性自認(Gender Identity):自分の性をどのように捉えているか
「GI(性自認)」には女性、男性、Xジェンダー(※2)などが当てはまります。
※2 男/女のどちらにも当てはまらない性自認のこと。「男性と女性の中間」「男性と女性の両方」「日によって移り変わる」などなど、さまざまなあり方が存在します。
SOGIとは、ざっくり「私たち1人ひとりが持つ性のあり方」と捉えることができるのです。
たとえば…
Aさんは、生まれたときに割り当てられた性別は女性で、性自認も女性です。そして、恋愛対象は男性です。
Aさんはこの場合、LGBTQ+の当事者ではありませんが、「ヘテロセクシュアルと女性」というSOGIを持っていることになります。
Bさんは、生まれたときに割り当てられた性別が女性で、性自認が男性なので、トランスジェンダー男性ということになります。
そして好きになる性別は男性なので、男性として男性が好きになるゲイという性的指向を持っています。
Bさんは生まれたときに割り当てられた性別は女性ですが、あくまで性自認が男性なので、性自認をベースに「同性が好きになるか/異性が好きになるか」を考えるというところもポイントですので、抑えておいてください!
ここまで解説してきたように、SOGIは性のあり方を表す言葉ですが、ときどきLGBTQ+と混同して使われてしまうケースがあるようです。
そこで次の章では、LGBTQ+との違いを解説していきます。
LGBTQ+とは何が違うの?
LGBTQ+は「レズビアン・ゲイ・バイセクシュアル・トランスジェンダー・クィア/クエスチョニング」の頭文字をとった言葉で、いわゆる性的マイノリティの総称として使われています。
LGBTQ+について詳しい解説はこちらの記事をご覧ください。
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今更聞けないLGBTQ+の意味、あらためて復習!
「LGBTQ+」という言葉、これを読んでる皆さんも1度は聞いたことがあるのではないでしょうか?
一方、SOGIは先ほどもご説明したとおり、性的指向と性自認の頭文字をとったもので、これはLGBTQ+に含まれる人もそうでない人も、すべての人が持つものです。
そのため、上の章で示したAさんの例で考えると、AさんはLGBTQ+には含まれませんが、SOGIを持っています。
LGBTQ+もSOGIも、性の多様性やセクシュアリティに関する文脈で使われる言葉ではありますが、指し示している内容はまったく違うのです。
ぜひ、正しく理解して使いわけてくださいね!
性のあり方はグラデーション!
誰もが持つ性のあり方としてSOGIをご紹介してきましたが、実は私たちの性のあり方を作っているのは、性自認と性的指向の2つだけではありません。
たとえば「どんな服装をするのか」や「どんな振る舞いをするのか」というのも、重要な性のあり方の要素の1つです。
また、一口に「SOGIはレズビアンの女性」と言っても、そのなかでの性の捉え方は人それぞれ。まさにグラデーションのように広がっているのです。
いわゆるLGBTQ+に含まれない、異性愛でシスジェンダーの人たちの中でも、
- どんなファッションが好みなのか
- どんな話し方をするか
- どんなときに人のことを好きになるのか/ならないのか
というのは人によって本当にさまざまですよね。
近年、LGBTQ+という言葉の認知度はとても高まってきましたが、一方で「自分はLGBTQ+の当事者じゃないから関係ない」と感じる方も多いのではないでしょうか。
LGBTQ+という言葉でくくってしまうことによって、「LGBTQ+とそれ以外の人々」とわけてしまう風潮も残念ながらあるようです。
しかし、このSOGIを通して考えてみると、性のあり方を、「どこからが普通で、どこからが普通じゃない」と捉えるのではなく、いろいろなバリエーションのうちの1つとして捉えることができ、私たちすべての人がグラデーションの一部であることがわかってきます。
もちろん、今の社会にはLGBTQ+当事者の方々が直面する課題が多く残り、また社会の中で「いないこと」にされてしまうケースもあるため、LGBTQ+という言葉と正しい理解を広げていくことは必要なこと。
しかし、LGBTQ+ではない人たちにとっても、「性の多様性は自分とは関係のない問題」なのではなく、「あくまで自分も多様なグラデーションの一部」として捉えていくことが大切です。
この記事を読んでいるあなたのSOGIも、あらためて考えてみてください!
この記事を書いた人
1993年東京生まれ。早稲田大学卒業。編集ライター。大学在学中よりフェミニズム活動に参加し、署名活動やパフォーマンス、レクチャーなどを行う。ウェブメディア「パレットーク」副編集長をつとめる傍ら、ジェンダーやフェミニズムに関しての執筆や講演を行う。