【ウクライナ侵攻】生活が一変してしまったウクライナ難民 ー 日本にいながら支援する方法
前回の記事では、深刻化するロシア軍のウクライナ侵攻の中で生活を送る難民の生活について紹介し、生理の問題やその他のリスクについて解説しました。
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【戦争と生理の貧困】 難民になったウクライナの女性たちに今起きていることとは?
ロシア軍によるウクライナ侵攻が始まり1年が経ちました。国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)によると、ウクライナから国外へ避難した人の数は800万人(2023年2月時点)を達し、戦後のヨーロッパで最大の難民危機だと言われています。
難民の大半が立場の弱い女性や子供であるため、性暴力や性的搾取などの暴力にあうリスクが急増していることがわかりました。
長期化する侵攻下で、難民へ引き続き支援を続けていくことが重要だと専門家たちは言います。困難に直面している難民のために、私たちができることはなんでしょうか。
募金のほかにも、「ニュースを読む」「TikTokでいいね・シェアをする」「映画を観る」などさまざまな支援のかたちがあります。この記事では、難民の支援に貢献できるさまざまなリソースをまとめました。ぜひ参考にしてみてください。
まず、私たちができることー「ウクライナ情勢を知る」
連日メディアでウクライナのショッキングな情報を目にし、自分にも何かできることはないかと考えた人もいるのではないでしょうか。
まずは、ウクライナで起きている現状について知ることが重要です。世界の報道に目を向け、情報をアップデートしていくことも支援になるでしょう。
ウクライナ情勢を日本語で読める国際メディア
BBCニュース
イギリス視点で世界事情を伝えるニュースサイト。世界最大のニュース放送局。
CNNニュース アメリカ視点で世界事情を伝えるニュースサイト。アメリカで最も信頼されているメディアの一つ。
ロイターニュース 最も古い国際ニュースの一つ。世界中に2500人のジャーナリストと600人のフォトジャーナリストがいる。政治経済コンテンツがとくに充実。
ウクライナの英字メディア
キーウ・インディペンダント(Kyiv Independent) 2021年11月に設立されたばかりのウクライナの英字メディア。元キーウキーフポスト(Kyiv Post)のジャーナリストらによって創立。InstagramやTwitterでも発信を行い、視覚的にわかりやすくニュース伝えている。
ロシアの英字メディア
モスクワ・タイムズ(The Moscow Times) ロシアで最も知られている英字メディア。2017年からはオンラインニュースのみを扱っている。最近は、ロシアでの国内報道が困難になったことを受けて、モスクワから拠点を移し、オランダのアムステルダムから一部発信中。
自国のリアルを世界に発信する、ウクライナ女性のTikToker
テレビや新聞以外の、SNSを中心にウクライナの被害の大きさを知ったという人もいるのではないでしょうか。
ここでは、ウクライナの現実にスポットライトを当て、世界へ情報を発信しているウクライナ人TikTokerを3名を紹介。
Marta Vasyuta さん(@martavasyuta)
現在イギリスの大学に在学中のMarta Vasyutaさんは「ウクライナについてウクライナ国民だけでなく全ての人にも考えてもらいたい」と日々動画を発信しています。
侵攻が始まった2022年2月24日、Martaさんは「Ukiraine right now(ウクライナの現状)」というキャプションとともに爆撃を受けるウクライナの市街の様子の動画を投稿。同動画は一晩で何百万回も再生され、それまでフォロワーが2〜300人程度しかいなかった彼女のアカウントは、ウクライナのいまを世界に伝える貴重なプラットフォームになりました。
現在、彼女の動画には合計で2400万以上の「いいね」が寄せられ、27万人以上のフォロワーがいます(2023年2月時点)
@martavasyuta Spread awareness and support Ukraine #ukraine ♬ bringing the era back yall - chuuyas gf
Travel blog by Alina さん(@alina__volik)
Tiktokで7万人フォロワー(2023年2月時点)を持つAlina Volikさんは、以前は旅行ブロガーとして、彼女が巡った海外の旅行先の動画を投稿していました。侵攻が始まり彼女のこれまでの生活が一変すると、戦争下のありのままの生活を見せることを決心。
一日に何度も鳴る空襲警報のサイレン、枕元に置かれた救急キット、爆弾でガラス破片を防ぐために何重にもテープが貼られた家の窓ガラス。以前の華やかな生活からは想像もつかないものばかりです。
「あくまで特別軍事作戦であって戦争ではない」と攻撃を正当化するロシア側メディア。それでもAlinaさんは世界中のフォロワーへ戦争の真実を伝えるため投稿をやめません。
@alina__volik And this is nothing to what people are going through in other regions and cities… watch my inst stories alina__volik ‼️
♬ bringing the era back yall - chuuyas gf
Valerisssh さん(@valerisssh)
ウクライナ出身のValeria Shashenokさんは、TikTokのトレンド「Things In My Life That Just Make Sense(直訳:私の生活のなかの合理的なもの)」に合わせて彼女の避難シェルターでの生活についての動画を投稿すると、世界中で注目を集めました。
このトレンド動画とは「一般には変わっているものでも、自分の生活にとっては当たり前であったりするものを紹介をする」もの。
彼女はウクライナ国外からTikTokで世界へ情報を発信する傍ら、本「Things that just make sense in a bomb shelter」の執筆や難民ボランティアとして活動をしています。そんな彼女には世界からたくさんの応援のメッセージが送られています。
@valerisssh Living my best life Thanks Russia! #ukraine #stopwar #russiastop ♬ Che La Luna - Louis Prima
近年のウクライナとロシアの関係についてのドキュメンタリー (日本語音声・字幕)
Netflix「ウィンター・オン・ファイヤー: ウクライナ、自由への闘い」(2015年 イギリス・ウクライナ・アメリカ合作)
ウクライナで2014年に起こった、ヴィクトル・ヤヌコビッチ大統領の親ロシア政府に対する学生デモ「マイダン革命」の記録。祖国のために団結するウクライナ国民にフォーカスしたドキュメンタリーで、現在もロシア軍に抗戦するウクライナ人の祖国愛についてより深く理解できる、今こそ観たい作品です。世界的に最も栄誉ある賞であるアカデミー賞やエミー賞などにもノミネートされました。
また、今回のロシア軍による侵攻を受けて、Netflixは2022年3月にYoutubeで無料配信を決定。
まず、 私たちができることー「人道支援をする」
たくさんある寄付支援の中で、とくに難民女性と子供のサポートなどの人道支援を行っている団体をいくつかリストアップしました。
日本語サイト付きの支援先
セーブ・ザ・チルドレン
衛生キットの配布、保護支援、心理社会的支援、教育支援など、侵攻の影響を受けた子供たちへ心理的・精神的サポートを行う。
日本ユニセフ協会
緊急支援物資の提供、緊急現金給付支援、医療資源支援、難民の子どもと家族のための心理社会的支援拠点「ブルードット」の設置・拡大をしている。
国連UNHCR協会
パートナー団体と協力し、受け入れ施設の開設、救急物資の提供、難民家族への現金支援プログラム、国境付近での難民の保護などに努めている。
日本赤十字社
医療資源が不足しているウクライナの地域で、赤十字ボランティアとスタッフによる救命講習、ウクライナから国外へ避難してきた人のための避難所の提供、必要物資の配布など。
国連ウィメン日本協会
ウクライナ国内外の女性市民団体や国連団体と連携し、ウクライナ女性とその家族の安全と自立のために活動する。食品や衛生用品などの必需品のほか、女性が生計を立てるようにする支援も行っている。
海外の支援団体に直接寄付をする
ヴォイシズ・オブ・チルドレン(Voices of Children)
ウクライナを拠点に紛争で心身的ケアが必要な子どもの支援を行う団体。「戦争でウクライナの子どもを誰一人取り残さない(筆者翻訳)」というミッションのもと、アートセラピー、心理カウンセラー派遣、難民家族支援を行う。
ワールド・セントラル・キッチン(World Central Kitchen)
ミシュランシェフのホセ・アンドレによって創設された食事提供をする団体で、紛争で家を失った人のため常時炊き出しを行っている。現在は、ウクライナと近隣国含む8か国と2900以上の地域で1日36万食の温かい栄養のある食事が提供されている。
サンフラワー・オブ・ピース(Sunflower of Peace)
前線にいる救急医療隊員と医師へ救急キットを届ける募金を行うNGO。1つの緊急キットには、およそ5〜10人用の包帯、止血薬、医療器具などが含まれている。
出典:Sunflower of Peace Facebook
ウクライナ支援 ユニークな取り組みを行うフェムテックブランドを紹介
最後に、ウクライナ難民へ支援キャンペーンをしている世界のフェムテックブランドを紹介します。月経管理アプリを利用している人なら、利用したことがあるかもしれません。この機会に、海外のフェムテックについても知ってみませんか?
ベラルーシ発の健康管理アプリ「Flo」
2022年3月8日の国際女性デーに、世界でもっとも多くのユーザーをもつ健康管理アプリであるFloは、ウクライナ女性の支援を発表しました。
支援内容とは、全ウクライナ女性へ有料版のFloプレミアムを今後3年間無料提供すること、ウクライナ赤十字社へ10万ドルの寄付、避難を希望するFlo社員とその家族への旅費・宿泊費の全額負担などです。
Floのウクライナ人アクティブユーザーはすでに100万人近くいますが、その多くが今回の侵攻で医療ケアの不足や強いストレスを経験しています。これを受け、Floはウクライナ人ユーザーへ信頼性のある情報と十分な支援を提供することを約束しました。
Floのウェブサイト▶︎https://flo.health/ja
イギリス生理ケアブランド「Freda」
イギリスの生理ケアブランドFredaは、ヨーロッパ最貧国ながら大規模にウクライナ難民の受け入れを行うモルドバ共和国への支援を募っています。ウクライナ難民が急増していることを受け、Fredaは「必要ある限り生理用品の寄付を続けるつもりであり、そして私たちはそうする立場にある(筆者翻訳)」と表明しています。15ポンドの募金で100枚の生理用ナプキンがモルドバへ届けられます。
Fredaは小規模のスタートアップブランドでありながら、環境問題と貧困問題の解決に取り組んでいることで知られています。Fredaの製品は、クルエルティーフリーでアレルギーを引き起こしやすい素材・香料・ケミカル・ポリエステル不使用など、できるだけ地球に優しく、かつ肌に優しい素材で作られています。
Fredaのウェブサイト▶︎https://myfreda.com/
ドイツの生理ケアブランド「The Female Company」
出典:The Female Company Facebook
ドイツ、ベルリンの生理ケアブランドThe Female Companyは、侵攻開始からすぐに1万箱の生理ナプキンを、国境沿いに避難したウクライナ難民に寄付しました。
寄付が発表されると、ブランドの取り組みにに賛同した人々から購入リクエストが殺到したため、「Pads for Ukraine(訳:ウクライナのための生理ナプキン)」という、ウクライナ難民支援専用の特別パッケージの生理ナプキンが発売されることになりました。
「Pads for Ukraine」は、同社の通常の生理ナプキンより25%安く買うことができ、ウェブサイトで購入されたナプキン は、生理用品を必要とするウクライナ難民のもとに毎週届けられます。1箱につき、オーガニックコットン製の使い捨て生理ナプキンが10枚含まれます。
The Female Companyのウェブサイト▶︎https://buy.thefemalecompany.com/
筆者より
この記事では、日本にいながらウクライナ難民の力になれる方法をご紹介しました。気になるアクションはあったでしょうか。
支援活動を行っている団体への寄付ももちろん効果的ですが、金銭的な支援だけが支援の手段ではありません。ニュースを正しく理解するために時間を使うことや、現地から発信するウクライナの当事者の声に耳を傾けることも大切な行動です。
以前ロシア国民にむけられたスピーチの中で、ウクライナのゼレンスキー首相がTiktokerを「戦争の終結に貢献することができるグループ」と呼んだことで話題になりました。彼は、若い世代こそが世界を変えられる存在だと考え、支援を呼びかけたのです。
また、海外にはウクライナの支持を表明し、難民を支援をするフェムテックブランドがまだまだあります。支援の方法は多様です。企業も個人もできることから何かはじめてみませんか。
参考サイト
TikTok war: How Russia's invasion of Ukraine played to social media's youngest audience | ReutersSupporting our Flo community in Ukraine
Donations — Freda
この記事を書いた人
性教育・フェムテック領域に興味津々な20代のメンバーで構成される、ピルモット編集部による記事です。