意図しない妊娠を回避!平均的な生理周期は?整える方法は?

公開日 2021-10-05 更新日 2021-10-05

記事監修医

フィデスレディースクリニック

松本智恵子先生

滋賀医科大学卒業。京都大学医学部婦人科学産科学教室に入局後、 大津赤十字病院、洛和会音羽病院などを経て、フィデスレディースクリニックで勤務。
産婦人科専門医、日本女性医学会会員。

「生理周期が不安定」「妊娠が心配」などの理由で、平均的な生理周期を知りたい方もいるかと思います。生理周期が安定すると、妊娠しやすい時期・しにくい時期も把握できます。

この記事では、平均的な生理周期や生理のしくみ、生理周期を整える方法をご紹介します。

さらに、記事の後半では、経口避妊薬であり生理周期を整える効果がある「ピル」についてご紹介します。

生理や排卵、妊娠のしくみ

まずは、生理や排卵、妊娠のしくみについて確認しておきましょう。

生理とは?

生理は約1カ月に一度、妊娠が成立しなかったときに、厚くなった子宮内膜がはがれ落ちて、血液といっしょに排出されるものです。

女性の体では、脳の下垂体というところから分泌されるホルモンによって、毎月排卵が起こります。この排卵に備えて、卵巣から分泌される女性ホルモンによって、子宮内膜が厚くなります。

妊娠が成立しなかった場合、厚くなった子宮内膜ははがれ落ち、1週間ほどかけて体外に排出されます。このときの出血が「生理」です。

排卵日はいつ? 安全日は?

通常、次回の生理予定日の2週間前、ちょうど低温期から高温期に移り変わる時期のに排卵が起こります。
生理周期が安定している人であれば、毎月の生理周期を確認することで、大体の排卵日を把握できますが、周期が不安定な場合は把握しにくくなります。

排卵日はストレスによるホルモンバランスの乱れなどによってもズレが生じるため、一般的に言われる「安全日」というものは存在しません。ただ、生理周期が安定している人であれば、排卵が終わってから生理開始までの期間は「妊娠しにくい期間」といえるでしょう。

また、おりものの状態で排卵日を把握する方法もあります。排卵日の2、3日前には卵白状のとろみのある「おりもの」が増えます。その「おりもの」を指で伸ばすと10センチ以上のびるようになり、これが排卵が近いサインです。排卵が終わると、おりものの量は減少します。

妊娠しやすい期間は?

妊娠可能な期間は、実はそんなに長くありません。卵子の寿命は短く、排卵してから12時間〜24時間程度といわれています。対して、健康な精子の寿命は数時間から最大で5日程度といわれています。

妊娠しやすい時期は、排卵日の4日前から排卵前日までと言われています。排卵の1〜2日前は、とくに妊娠しやすいとされています。
ただし、排卵日を正確に予測することは難しいため、この期間だけを気をつければいいというわけではありません。

意図しない妊娠を避けるためにも、普段から自分の生理周期をしっかり把握しておくとともに適切な避妊方法を用いるといいですね。

平均的な生理周期って?

生理周期とは、生理が始まった日から、次の生理が始まる前日までの期間をいいます。
生理周期は25〜38日であれば正常です。

また生理(出血)期間は3〜7日です。生理周期や生理期間がこの範囲内にない場合は、異常ということですね。

生理周期の計算は、生理開始日から次の生理までの日数を数えるだけなので、難しくありません。
ルナルナなどのアプリを使えば、毎月の生理開始日を入力するだけで、簡単に生理周期やおおよその排卵日を把握できます。

生理周期が乱れる原因とリスク

生理周期が短かったり、長かったりする場合は、将来妊娠できるのだろうかと心配になりますよね。

ここでは、生理周期が乱れる原因とリスクについてご紹介します。

生理周期が乱れる原因は?

生理周期が乱れる場合に考えられる原因には、主に以下の3つがあります。

  • 疲労やストレス
  • 栄養の不足や偏り
  • 病気

疲労やストレスは、ホルモンバランスを崩す原因となります。排卵や生理はホルモンバランスによってコントロールされているため、ホルモンバランスが崩れることで、生理周期も乱れてしまうのです。

また食事から摂る栄養の不足や偏りも、ホルモンバランスや生理周期を崩す原因となります。
若い女性の場合、ダイエットなどで極端な食事制限をする場合も多いです。栄養が不足したり栄養が偏ると、ホルモンバランスが乱れてしまい、生理周期の異常につながります。

生理不順に加え、出血量が多い、不正出血がある、生理痛がひどいなどの症状がある場合は婦人科系の病気の可能性も考えられますので、一度婦人科を受診することをおすすめします。

生理周期が乱れていることによるリスクとは?

生理周期が乱れているということは、ホルモンバランスが乱れているということです。一時的な乱れであれば問題ないですが、生理不順が続く場合や、無月経になってしまうと、身体にとってさまざまなリスクが考えられます。
大きなリスクとしては、以下の2つが挙げられます。

  • 将来妊娠しにくできなくなるリスク
  • 骨や血管などに対するリスク

生理周期が乱れている場合、妊娠しにくいことが多いです。状態にもよりますが、生理がきちんと来ていない場合は、排卵していないことも多いですので、妊娠しにくいということですね。卵巣や甲状腺などの病気が隠れていることもありますので、一度産婦人科を受診してみてくださいね。

若いうちに無月経だと、子宮が成熟しにくいというリスクがあります。また、無月経のまま放っておくと将来妊娠しにくくなることにもつながりますし、骨がもろくなったり、血管の老化など、体のあちことに悪影響が出てきます。

3カ月以上生理が来ないことがある場合には産婦人科を受診してみてくださいね。

生理周期を整える方法

次に、生理周期を整える方法をご紹介します。
生理周期を整える方法は、主に以下の3つです。

  • 食事に気をつける
  • ストレスを減らす
  • ピルを飲む

食事に気をつける

生理周期を整えるには、ホルモンバランスを整える必要があります。栄養バランスの整った食事を摂ることで、女性ホルモンのバランスが整いやすくなります。

過度なダイエットは、もちろんNGです。ダイエットなどで栄養失調に陥ると、体は生命維持を優先させようとするため、生理がストップしてしまう場合もあります。
ダイエットをする場合は、一品しか食べないなどの偏った食生活にならないようにして、なるべく複数の食材を少量ずつ摂るようにしましょう。また、短期間で急激に痩せるのではなく、緩やかな体重減少になるように意識しましょう。

女性ホルモンは、コレステロールから作られます。適切な量を摂取するように心がけてください。

ストレスを減らす

ストレスや疲労、睡眠不足などはホルモンバランスを乱す原因となるため、なるべくストレスの原因となる事柄を避け、ゆったりすごしましょう。ストレス発散をしやすい方法をいくつか見つけ、ストレスコーピングリスト(自分だけのストレス解消法リスト)を作っておくといいですね。

ストレス解消法としては、軽い運動や散歩、自然に触れること、入浴などが効果的です。ストレスをためないためには、日頃の生活習慣も大切になります。

ピルを飲む

「低用量ピル(OC)」は、避妊効果のあるお薬ですが、生理周期を整えるためにも、実は有用です。

ピルを飲むと、卵巣を休ませることになるので、排卵が抑制されます。さらに、子宮内膜の増殖も抑制します。

排卵自体を抑制するため避妊効果が高く、子宮内膜の増殖も抑えるため生理痛が軽くなり、出血量も減少します。生理周期を整えることもできます。

ピルの効果と入手方法

ホルモンバランスを整えるために、食事に気を使ったり日々のストレスを無くしたりすることは大切ですが、努力をしても必ずしも生理周期が整うというわけではありません。
生理周期を整えたい方で、避妊もしたいという場合には、経口避妊薬である低用量ピルを服用する方法がおすすめです。
そこで次に、ピルの効果や注意点、入手方法をご紹介します。

ピルの効果・メリット

ピルは女性にとってメリットの多い薬です。ピルのメリットとしては、以下が挙げられます。

〈ピルのメリット〉
  • 生理周期を整えられる
  • 生理痛が軽減する
  • PMSが改善する
  • ニキビが改善する
  • 出血量が減る
  • 生理日を移動できる
  • 正しく飲めば高い避妊効果が期待できる
  • 保険適用になれば価格が安い

ピルを飲むことで、避妊効果だけでなく、ホルモンバランスの乱れによる肌荒れやPMS等の諸症状の改善も期待できます。実際に、ニキビ治療やPMS、生理痛の軽減のために、ピルが用いられることがあります。

また、女性の悩みとして、大事な予定と生理がかぶることが心配な場合もあると思います。ホルモン量が多い「中用量ピル」を用いることで、生理日を移動することも可能です。ふだんから低用量ピルを内服している方の場合は、低用量ピルの飲み方を変えることで生理日の移動をすることができます。移動の仕方がわからない場合は、婦人科で相談してくださいね。

価格が高いのでは? と心配な方もいるかもしれませんが、1シート(1カ月分)の相場は2,000〜3,000円ほどです。月経困難症・子宮内膜症と診断された場合は保険適用となり、1カ月700円程度からとなります。(保険診療の場合には、その他に初診料や再診などがかかります)

ピルを服用する際の注意点

ピルはメリットの多い薬ですが、いくつか注意点もあります。

飲み始めは不正出血が起こることがある

ピルを飲むことで、これまでとはホルモンのバランスが変わります。そのため、ピルを飲み始めて3カ月ほどは、吐き気や不正出血などの副作用が現れる場合があります。

飲み忘れがあると避妊率が下がる

ピルは毎日服用する薬です。内服するピルの種類にもよりますが、飲んでいない期間もしくは偽薬の期間に生理がくる仕組みになっています。そのため、飲み忘れてしまうと避妊率が下がったり、意図しないタイミングで生理がきてしまったりすることもあります。
毎日決まった時間に服用することが大切です。

血栓症のリスクがある

若干ですが、ピルには血栓症のリスクがあるとされます。そのため、高度な肥満がある人、35歳以上で1日15本以上の喫煙習慣がある人、片頭痛がある人などは処方できない場合があります。

通院の必要がある

ピルを飲む前には、基本的には医師による診察や検査等が必要です。ピルは毎日飲み続ける薬のため、処方のために定期的に通院する必要があります。ただし、必ずしも実際の診療は必要なく、クリニックによっては初回からオンライン診療を実施している場合もあります。またピルを定期配送してくれるクリニックも何か所か存在します。

妊娠したい場合は服用をやめること

ピルは女性ホルモンの分泌にアプローチする薬ですが、長期間服用を続けても妊娠のしやすさには影響しません。妊娠を希望する場合は、服用をやめるだけでOKです。

ピルの入手方法は?

ピルを入手するためには一般的に、婦人科の受診が必要です。初回の受診では簡単な問診の他に検査等が必要な場合があり、別途3,000円ほど診察代がかかる場合があります。

個人輸入でも購入は可能ですが、安いものはニセモノの可能性もありますし、どんな成分が混じっているかもわからないため、危険性が高くおすすめできません。

病院受診の場合、月経困難症・子宮内膜症と診断された場合は、薬代が保険適用になるメリットもあります。定期的な受診が必要ですが、病院によってはまとめて処方してくれるところもあるので、相談してみるといいでしょう。

6.生理周期を整えるにはピルがおすすめ

予期しない妊娠はなるべく防ぎたいもの。ピルなら服用するだけで意図しない妊娠のリスクを大幅に回避できます。
避妊目的の方だけでなく、生理周期を安定させたい方や、生理による諸症状を改善したい方は、ピルの服用を検討してみてはいかがでしょうか。

【参照】

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