女性の性病の症状とは?かゆみ・臭いなど症状別にチェック!【Q&Aあり】

公開日 2021-11-01 更新日 2021-11-01

記事監修医

フィデスレディースクリニック

松本智恵子先生

滋賀医科大学卒業。京都大学医学部婦人科学産科学教室に入局後、 大津赤十字病院、洛和会音羽病院などを経て、フィデスレディースクリニックで勤務。
産婦人科専門医、日本女性医学会会員。

「なんだか陰部にかゆみがある」「おりものがいつもと違う」
など、いつもと違う感覚に不安になっている女性もいるのではないでしょうか?

陰部はムレやすく汚れやすい部位のため、女性の場合はかゆみなどの皮膚トラブルが起こりやすい部位ではありますが、注意したいのは「性病」です。

この記事では、症状別に当てはまる性病を一覧表でご紹介します。さらに、受診の際の不安をQ&A形式でご紹介しますので、ご不安な症状がある方は、受診の目安・参考にしてくださいね。

性病(性感染症)とは?

性病(性感染症・STI)とは、主に性交渉等による皮膚や粘液の接触による感染性疾患の総称です。性病は性器まわりのほか、口腔内に発症することもあります。

病気によって異なりますが、男女で自覚症状に差があります。男女ともに症状が出ないこともありますが、症状がある場合は男性の方が自覚症状が強いことが多いです。女性の場合は無症状で感染していることもあるため、特に注意が必要です。

症状別チェックシート

それでは、あなたの気になる症状から、性病の可能性があるかをチェックしてみましょう。

陰部にかゆみや痛みがある
かゆみがひどいカンジダ、性器ヘルペス、トリコモナス
痛みが強く、排尿痛もある性器ヘルペス、淋病
おりもの(陰部)の臭いがおかしい
臭いが強く、泡状のおりものがでるトリコモナス
おりものが増えた、形状がおかしい
おりものが増え、下腹部痛や不正出血もある淋病、クラミジア
ポロポロとしたおりものがあるカンジダ
水膨れやイボ、しこりがある
性器や肛門まわりにイボがあるが痛くない尖圭コンジローマ
性器や肛門、唇に痛みを伴わないしこりや腫れがある梅毒
性器や肛門周りに水ぶくれやただれ、ぶつぶつがある性器ヘルペス
性器以外にも体に異常がある
太もものリンパ節が腫れている梅毒、性器ヘルペス
全身に赤茶色の発疹がでている梅毒
喉の腫れや痛みがある淋病、クラミジア
食欲不振や黄疸(白目が黄色くなるなど)があるB型肝炎、C型肝炎
発熱がある
喉の腫れや痛みに伴う発熱淋病、クラミジア
倦怠感や発熱など、風邪のような症状が1カ月以上続くエイズ

性病の種類と特徴一覧

ここまでで当てはまりはそうな性病があった方は、性病ごとの詳しい症状を確認してみましょう。

以下に、性病の種類と詳しい特徴をご紹介します。

カンジダ(性病ではないが性器が炎症を起こす病気)

主な症状・外陰部の腫れ
・かゆみ
・チーズ状の白いかす
・排尿痛
・性交痛
潜伏期間2日〜数年
治療方法・膣剤
・軟膏
・飲み薬
治療期間6日間
検査方法・膣分泌物検査
・皮膚擦過検査
治療費の目安
(※保険適用前)
7,000〜1万円

クラミジア

主な症状・おりものの増加
・下腹部痛
・不正出血
潜伏期間1〜4週間
治療方法飲み薬
治療期間2〜3週間
検査方法膣分泌物検査
治療費の目安
(※保険適用前)
7,000〜1万円

淋病

主な症状・おりものの増加
・黄緑の濃いおりもの
・外陰部の軽いかゆみ、腫れ
・不正出血
潜伏期間2〜7日
治療方法・飲み薬
・点滴
・筋肉注射
治療期間2週間
検査方法膣分泌物検査
治療費の目安
(※保険適用前)
1万〜3万2,000円
(※治療内容によって異なる)

性器ヘルペス

主な症状【初期】
1~2mmのかゆみのある水疱が多数出現
【3~5日後】
水泡が潰れて潰瘍化、強い痛みを伴う(※再発しやすい)
潜伏期間3〜7日
治療方法飲み薬
治療期間1〜2週間
検査方法皮膚擦過検査
治療費の目安
(※保険適用前)
1万3,000〜2万円

トリコモナス

主な症状・泡状で悪臭のある褐色・黄緑色のおりもの
・外陰部・膣の猛烈なかゆみ
・刺激感
・膣の発赤
潜伏期間5〜14日
治療方法飲み薬
治療期間6日間
検査方法膣分泌物検査
治療費の目安
(※保険適用前)
7,000〜1万円

尖圭コンジローマ

主な症状・性器や肛門まわり、唇、口腔内などに痛みのないイボが出現
・おりものの増加
(※トリコモナス腟炎やカンジダ外陰・腟炎、淋菌感染などを伴うことも多い)
潜伏期間3〜6カ月
治療方法・軟膏
・手術(電気メスなど)
治療期間治療法による
検査方法・視診
・生検
・凍結療法(液体窒素)
治療費の目安
(※保険適用前)
7,000〜3万円
(※治療内容によって異なる)

梅毒

主な症状【第Ⅰ期:感染後約3週間】
・陰部や肛門、口腔内、唇などにしこり
・鼠径部のリンパのはれ
【第Ⅱ期:感染後数か月】
・手や足の裏、体全体にうっすらと赤い発疹
【晩期顕性梅毒(感染後数年)】
・皮膚や筋肉、骨などにゴムのような腫瘍
・心臓、血管、脳などの臓器に病変が生じ、場合によっては死に至る
潜伏期間3〜6週間
治療方法・内服
・点滴
治療期間2〜3カ月
検査方法血液検査
治療費の目安
(※保険適用前)
1万5,000〜2万円

B型肝炎

主な症状・褐色尿、黄疸(急性肝炎)
・全身倦怠感
・吐き気や食欲不振
・発熱
・蕁麻疹様の皮疹
・関節痛
潜伏期間1〜4カ月
治療方法専門医による治療が必要、重度の場合は肝移植も
治療期間症状による
検査方法血液検査
治療費の目安
(※保険適用前)
5,000〜1万円

C型肝炎(※血液からの感染が主)

主な症状・軽い倦怠感
・軽い食欲不振
潜伏期間2週間〜4カ月
治療方法専門医による治療が必要、重度の場合は肝移植も
治療期間症状による
検査方法血液検査
治療費の目安
(※保険適用前)
5,000〜1万円

エイズ(AIDS)

主な症状【初期:感染後約3週間】
・インフルエンザに似た発熱
・のどの痛みや腫れ
・倦怠感
・筋肉痛
・リンパの腫れ
【中期:感染後約3週間】
・帯状疱疹
【エイズ発症期:数年~15年】
・あざ、内出血、できものなど
潜伏期間2〜4週間
治療方法抗HIV薬を一生涯飲み続ける
治療期間一生
検査方法血液検査
治療費の目安
(※保険適用前)
5,000〜2万円

※ 保険適用の場合の治療費は、原則3割負担となります
※ 検査費等の設定金額は医療機関病院によって異なるため、確認が必要です
※ その他、初診では3,000~5,000円の診察費がかかります
※ 生理中は・腟分泌物検査などの性病検査ができません

女性に多い性病の悩みQ&A

もしも、お悩みの症状が性病であった場合、医療機関で検査をすることで確認できます。適切な治療を行うことで改善する場合がほとんどですので、必ず受診しましょう。

しかし、性病での受診は女性にとって心理的ハードルも高いものです。そこで以下に、Q&A形式でよくあるお悩みをご紹介します。

Q.何科を受診すればいい?

女性の場合は、基本は「婦人科」を受診しましょう。婦人科は、大きな病院に設けられたもののほか、個人院も多いです。
「〇〇産婦人科」という名称の医療機関では、産科(妊婦さん向け)と婦人科、両方の科が設置されています。「〇〇レディースクリニック」のような名称のところも多いです。なかには性病を専門とする医療機関もあります。

受診は予約制としているところも多いため、受診の際は、事前に電話やメールで問い合わせてみましょう。
「お住まいの市区町村名+婦人科」で、近くの婦人科を検索できます。

Q.親や家族に知られたくない

学生の場合など、受診することで親や家族に知られてしまうのではないかと心配になりますよね。結論から言うと、ひとりで受診することは可能です。
ただし、医療機関ごとに取り決めは異なり、未成年は親の同伴を必須とするところもあるため、事前に確認が必要です。

また、未成年や被扶養者(親の会社の保険証を使用)の場合、保険証を使用すると使用履歴から受診が知られることもあります。
全額自己負担の場合は保険証を使わずに済みますが、金額的な負担は大きくなります。

未成年の場合は、なるべく保護者に相談することをおすすめしますが、どうしても知られたくない場合には、医療機関に相談してみてください。性病の場合、初めから保険を使わない「自由診療」としている医療機関も多くあります。

Q.治療せずにいるとどうなる?

治療しなくても、風邪のように自然治癒するのでは? と考える方もいますが、性病の種類によっては治癒するどころか命に関わることもあるので、必ず受診が必要です。

以下の病気については、特に注意が必要です。

・淋菌感染症
・性器クラミジア
子宮・卵巣の病気、不妊や流産・早産の原因になることもある
・梅毒心臓や血管の病気、認知症のような脳障害、神経まひ、失明、死亡もある
・B型肝炎
・性器クラミジア
慢性肝炎、劇症肝炎、肝硬変、肝臓がんになることもある

Q.受診する勇気がない

どうしても受診する勇気がでない方も多いと思います。しかし、性病は放っておけば悪化の可能性もあります。また適切な治療をすればしっかり治せる性病も多いです。

婦人科の看護師さんたちは、同じように悩む多くの患者さんたちをみてきています。優しく対応してくれる場合がほとんどなので、まずは電話などで相談してみてはいかがでしょうか?

性病は周囲の人にも話しにくい悩みですが、放置せずに早めに対処することが大切ですよ。

Q.パートナーにどう話せばいい?

自分が性病にかかってしまったときには、症状がなくともパートナーも感染してしまっている可能性が高いです。
またパートナーが感染していた場合、せっかく自分が治療をしても再感染してしまう可能性もあります。そのため、パートナーにも検査や治療を受けてもらったほうがいいでしょう。

言い出す際には「生理痛で医療機関を受診したら病気を指摘されて……」と、別件で受診したことにすると言い出しやすくなりますよ。
どうしても言い出しにくい場合は、医療機関に相談してみましょう。婦人科は2人で受診することもできますし、どちらかが悪者にならないよう、医師が納得のいくように説明してくれます。

性感染症はコンドームを使用することで100%予防できるものではないですが、感染リスクを減らすことができます。オーラルセックス(口での性交渉)によっても感染する可能性がありますので注意が必要です。コンドームによる予防だけでは感染を防ぎきれないので、診断された場合には必ずパートナーとともに治療するようにしましょう。

まとめ

気になる症状があるなら、医療機関を受診することを検討しましょう。不安な気持ちもあると思いますが、ひとりで悩みすぎず、心配なことは医療機関へ問い合わせて確認してみてくださいね。

【参照】

これって、性感染症?|HIV検査・相談マップ
性病の種類一覧|新橋・新宿の性病医院「あおぞらクリニック」
性病の症状
性感染症(STD)について | 膣の違和感、おりもの、臭い、できもの、の相談は新宿クリニック。
STD(性病・性感染症)を調べる|性病・性感染症の「正しい知識と検査」をあなたに【STD研究所】
症状から見てみる | 性病の症状について 神奈川県川崎市の川崎クリニック。

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