フィデスレディースクリニック
松本智恵子先生
滋賀医科大学卒業。京都大学医学部婦人科学産科学教室に入局後、
大津赤十字病院、洛和会音羽病院などを経て、フィデスレディースクリニックで勤務。
産婦人科専門医、日本女性医学会会員。
フィデスレディースクリニック
松本智恵子先生
滋賀医科大学卒業。京都大学医学部婦人科学産科学教室に入局後、
大津赤十字病院、洛和会音羽病院などを経て、フィデスレディースクリニックで勤務。
産婦人科専門医、日本女性医学会会員。
生理不順や不正出血など、女性特有のお悩みで婦人科の受診を考えている方もいるのではないでしょうか。
婦人科といえば「内診=痛い、怖い」というイメージを持たれている方も多いと思います。
そこでこの記事では、婦人科を受診しようか迷われている方に向け、婦人科の診察の流れや詳しい内診の内容、受診前のチェックリストをご紹介します。
婦人科は、女性特有のトラブルや悩みを相談できるところです。一般的に、産科とあわせて「産婦人科」という名称で呼ぶことが多いです。
産婦人科というと「妊婦さんがいくところ」というイメージをもたれている方も多いと思いますが、産婦人科は産科と婦人科、どちらでも受診できるということです。
婦人科では、例えば以下のようなお悩み・症状を相談できます。
婦人科は大きな総合病院内に設けられたもののほか、個人院も多く、「◯◯産婦人科」や「◯◯レディースクリニック」といった名称の医療機関が多くみられます。
産科が人気でとても混んでいたり、完全予約制のところもあるため、受診の際は一度電話で確認をとっておいたほうが良いでしょう。
医師による問診(症状の聞き取り)が行われ、それによってどのような診察・検査が必要かを判断します。検査方法としては、腟に医師の指や器具を入れて行う内診や経腟超音波検査、おなかの上からのエコー検査などがあります。
婦人科の内診とは婦人科医師による女性器の診察で、主に膣に指を入れて行う触診(指診)を指します。内診は、下着を脱いで内診台と呼ばれる専用のいすに乗った状態で行われます。
デリケートな部分を他人に見せるわけですから、初めて内診を受ける場合は、ほとんどの女性が不安に思うはずです。
そこで次に、不安を少しでも解消できるよう、内診の内容や痛みの有無などを詳しくご紹介します。
内診が心配な方も多いと思いますが、必ずしも内診をするわけではなく、症状によって検査内容は異なります。思春期の女性や性経験のない若い女性の場合、初診ではおなかの上から、もしくは肛門からのエコー検査が一般的です。
内診が必要となるのは、主に以下の内容です。
医師が膣に直接指を挿入して行う触診では、おりものの状態や出血の有無、子宮や卵巣の腫れがないかなどを確認します。医師は手袋をして1本または2本の指を挿入し、子宮を押さえるように腹部に手を置き、癒着がないかや押したときに痛みがあるかなどを確認していきます。
このとき、クスコ(腟鏡)と呼ばれる膣内を拡げる器具を用いて視診を行うこともあります。
経腟プローブと呼ばれる親指ほどの太さの超音波器具を用いて、膣内からエコー(超音波)検査を行う場合もあります。経腟エコー検査はおなかの上からのエコー検査よりも精度が高く、卵巣や子宮の異常をより詳細に見つけることができます。
子宮や卵巣に異常が疑われる場合、子宮頸がんなどの検査をすすめられる場合があります。がん検診の場合、病気が疑われる部位によって検査内容は異なります。
<主ながん検診と検査内容>
細胞診とは、病気が疑われる部位の細胞診を一部採取する検査です。専用の器具で細胞をこすり取りますが、頸部の場合は痛みはほとんどないことが多いです。
子宮体部の場合は痛みがある場合がありますが、通常、子宮体がんは年齢の若い人では少ないですので、疑わしい所見がない場合には子宮体がんの検査はしないことが多いです。閉経後に不正出血がある場合には必要な検診です。
これらの検診は予約制としているところがほとんどです。また金額も、婦人科がん検診は5,000〜1万5,000円ほどと高額になります。
心配な症状がある場合、まずは受診予定の医療機関に問い合わせることをおすすめします。
内診というと、痛そうなイメージがあり怖いと感じる方が多いのではないでしょうか。しかし、内診の際は痛みが少なくなるよう、潤滑剤を使用することも多く、実際にはそこまで痛みはありません。
痛みが出る原因としては、緊張して力が入りすぎていることがあげられます。
慣れないと難しいかもしれませんが、内診の際は深呼吸をし、なるべく力を抜くように意識しましょう。
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ここからは、婦人科の診察や内診の流れを詳しくご紹介します。受診時に困らないよう、流れを把握しておきましょう。
内診の前には、必ず症状の聞き取りである「問診」が行われます。
問診で聞かれるのは、主に以下のような項目です。
初診の場合、上記の内容は医師の診察前に「問診票」に記載することが多いです。一番最後にきた生理の日などは事前にメモしておくとスムーズでしょう。
医療機関に着いてから診察終了までの流れは、以下のようになります(初診の場合を想定)。
内診がない場合、4)〜6)の流れではなく、腹部エコーのみとなることもあります。
内診台にはショーツなどの下着を脱いだ状態で乗りますが、下半身を隠すためのバスタオルが用意されていることも多いです。バスタオルは巻かずに腰の上にかけます。
腰をかけると自動で内診台が動き、医師が診察しやすいように高さや傾き、脚の開き具体が変わります。医師の顔が見えないようにとの配慮から、おなかの上あたりに目隠しのカーテンがある場合もあります。
患者側からは医師がどんな処置をしているのかが見えないため、不安に思う方もいますが、経腟エコーの場合は患者側にモニターが用意されていることもあり、その場合は患者側からもエコーの様子を確認できます。
初めての婦人科受診では、服装や持ち物などを事前に確認しておくとスムーズです。ここでは、婦人科受診前のチェックリストや注意事項をお伝えします。
婦人科を受診する際は、以下の持ち物を持っていくといいでしょう。
基本的には、通常と同じように現金と保険証があれば大丈夫です。まれに内診の刺激や検査の影響で少量の出血があることもあるため、急な生理や出血に備えてナプキンがあると安心です。生理周期や最終月経は必ず聞かれるため、メモを用意しておきましょう。
金額の目安については、以下をご参照ください。
検査目的の場合、トータル初診料は平均5,000〜10,000円程度(初診料が800円程度、内診・超音波検査が1,500〜2,000円、妊娠検査が2,000円程度)
種類により3,000〜13,000円程度
種類により5,000〜15,000円程度
これらの金額はおおよその目安であり、設定金額は医療機関ごとに異なるため、受診前には電話などで確認しておくことをおすすめします。
なお、病気の場合は保険適用となりますが、妊娠の場合は病気ではないため保険適用外となるため注意しましょう。
最後に、婦人科を受診する際に注意しておくと良いことをお伝えします。
婦人科の検査では、おなかの上から、もしくは内診台でにて女性器の状態を検査します。そのため、どちらの場合でも対応できるよう、服装は上下が分かれた服で、下はフレアスカートなどがおすすめです。スカートであれば、内診時にはショーツを脱ぐだけですみます。
同じスカートでも上下がつながったワンピースは、腹部エコーの際にスカートをおなかの上までまくりあげなければならないため、あまりおすすめしません。
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診察日を予約していても、ふいに生理がきてしまうことがあります。生理中でも診察を受けられるのかについてですが、生理中もエコーや内診などの診察自体は可能としているところもあります。
ただし、以下の検査の場合は、生理中だと検査ができませんので注意しましょう。
生理とかぶってしまったときは、医療機関に相談の上、検診日をずらしましょう。 予約の際は生理日とかぶらないように、なるべく生理明けごろに予約をしておくといいでしょう。
内診がある場合に臭いなどを気にしてしまい「事前のシャワーが必要なのでは?」と考える方もいますが、そこまで神経質になる必要はありません。洗いすぎることで、自浄作用が落ちてしまうこともあります。受診前は最低限、清潔にしておきましょう。
下の毛の処理についても不安に思う方が多いですが、事前に剃っておく必要はありませんし、医療機関側で剃ることもありません。
こうした悩みや不安は相談しにくく、受診の妨げになってしまうこともあります。不安がある場合は医療機関に問い合わせても大丈夫ですので、ひとりで悩みすぎないようにしましょう。
また、不安な気持ちがあるなら、診察の前に伝えておくことも大切です。不安を伝えることで、安心して診察を受けられるよう配慮してもらえます。担当の看護師さんなどに、心配なことは伝えておきましょう。
女性特有の病気などは自覚症状が少ない場合も多いといわれます。受診するべきか迷ってしまうちょっとした不調でも、婦人科に早めに相談したほうが安心です。受診が不安な方は事前に電話やメールで問い合わせてみるといいでしょう。
悩みを抱え込まずに早めに解決し、不安のない生活を送りましょう!
【参考】
婦人科での診察・検診について:ワタシのカラダ相談室-持田製薬株式会社この記事を書いた人
三児の母・ライター。もともと教育関係の仕事に従事していたが、第三子出産を機にフリーライターとして活動開始。中学・高校の教員免許(保健体育)、幼稚園教諭免許、保育士など教育関係の資格を持つ他、メンタル心理カウンセラー資格を保持。教育や健康分野の記事執筆、絵本脚本の執筆など幅広く執筆活動を行う。
著書:「ある日突然、障害児の母となったあなたへ」